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「少々荒っぽくなると思いますのでしっかり掴まってて下さい」


 と言われて戸惑いながらも彼女の腰に手を回しながらアリサさんに心の中で謝った。


 ごめんアリサさん、浮気じゃないからね?非常事態だから、仕方なくだから。


 彼女が「では行きます」と言って走り出して直ぐに気が付いた、このスレイプニール改造されている?


 エンジンの振動も排気音も僕のリサとは全く違う物で排気量自体が違うと感じた。


 館の中を僕の運転技術では不可能な速度で駆け抜けていく。

 情けない話だが、正直怖くてずっと目を瞑っていた程だ。


 館を出て中庭から門へ向かうが当然門は閉まっていて門番達が門前を塞いでいたが、半数以上が後ろの、門の外に止まっている二輪と四輪の対応をしていた。


 でも僕の視線はその横、門番達の詰め所を向いていた。


 ない・・・え?なんで?・・・・・僕のリサが・・・・・


「・・・・・ああぁぁぁ!!返せええぇ!!俺のバイクを何処にやったああぁぁぁ!!」


「ご主人様?!」


 リサが止めた場所から無くなっていて困惑し、近くに僕が来た時に対応した門番が居るのを目にして一瞬で頭に血が上って叫び声を上げて門番に飛び掛かった。


「なっ、なんだ?!」


「返せって言ってんだ!何処にやった!!俺のバイクを返せ!!」


「し、知らん!俺は何もやってない!!」

「何をしている!放しなさい!」


 門番を押し倒し、胸倉を掴んで揺すっていると近くに居た門番達に引き剝がされ取り押さえられた。


「クソッ!放せえええぇえぇぇぇ!!」


 地面に頭を押し付けられ、背中や手足を掴まれて身動きが出来なくなった時、また頭の中に声が聞こえた。


 ご主人様私はここにおります!落ち着いて下さい!


「リサ・・・リサぁあああぁぁあぁぁぁ!!」


 僕はその声がリサからの物だと感じてリサの名を叫んだんだ。


「ご主人様を放しなさい!!ダッシュ!ピストンパアアンチッ!!」


「グハッ!」


 さっき助けてくれた女性の声と共に僕を取り押さえていた門番達が吹き飛び転がって行く。

 僕はこの女性がリサなんだと、ニールさん達と同じような存在なんだと感じた。

 でなければ館の中からここまでの出来事に説明が付かないからだ。


「そこまでだ!!この場はこの私、カール・アンモンが預かる!我が父ジェラール・アンモンの名においてこれ以上の違法行為は認めん!!兵士達は門を開け、全員その二人から離れよ!!」


 リサの手を借りて立ち上がると門の外にいた一人の男性が声を上げた。


 アンモン家の人がなんでここに・・・・・


 困惑する僕を他所にアンモン様は近くに居た門番に門を開けさせると僕に声を掛けた。


「オルト君・・・と其方の女性もこちらに来たまえ」


 そう言われて僕はヘルメットを脱いで脇に抱えると彼女、おそらくはリサであろう女性に目配せをして軽く頷き門の外へと歩き、アンモン様の護衛と思しき男性達に囲まれたままアンモン家の紋章が描かれた魔導車に乗せられた。


 アンモン様が「出せ」と一言告げると、護衛の乗る魔導二輪に囲まれて魔導車が走り出す。

 何処へ連れて行かれるのか聞いた方が良いかと思案しているとアンモン様が口を開いた。


「さて、先ずはオルト君に聞いておきたい事が有る。君は紋章を使わなかったな?父上から常に持ち歩けと言われている筈だ。館の中で何が有ったかは知らないが、アンモン家の庇護に有ると告げていれば騒ぎにならなかった筈だ」


「あ、あの、まずはお礼を。助けて頂き有難う御座います。その、紋章は持ち歩いています・・・でも、その・・・会った事も無い方に、それもお貴族様に迷惑を掛けたくなかったから使いませんでした」


 正確には迷惑と言うか貴族に借りを作りたくなかったからだけど。


「ふむ・・・まあいいだろう。で、其方の女性と君の関係は?モルクレイの御息女ではないようだし、君の事を御主人様と呼んでいたようだが?」


 アリサさんの事も知ってるのか・・・そう言えば手紙に調べたとか書いてあったっけ・・・あれ?ニールさんから聞いたんだっけ?にしてもこの女の人の事何も知らないんだよな・・・リサだとは思うんだけど・・・・・


 如何説明したものかと頭を悩ませているとリサが口を開いた。


「私の事は私から聞けばいいではないですか。ご主人様を困らせるような質問は止めて頂けますか」


「ふむ、確かに君の言う通りだ。では君の口から聞かせて貰えるかな?」


「いいでしょう。貴方がアンモン家の者と信用してお話します。私の名は『リサ・シルフライン』お父様、ニール・シルフラインの名付け親と同じ名を頂き、オルト・フィールズ様と主従契約した者に御座います」


 いや、僕がしたのは主従契約じゃなくて売買契約なんだけど・・・しかもリサとじゃなくてゴタード商会とだし・・・・・


「成程、先程見せた〝力〟に合点が行った。ニール殿の御息女であるならばあの程度の兵士では太刀打ち出来る訳がない。ならば説明が必要なのはオルト君だけか」


「説明ですか?」


「うむ。君にその資格があるならばこの国でも一部の者しか知らない真実を知らせておくようにと父上に言われているのだ」


「・・・それって『この国の歴史』とか『ニールさんとアマンダさんの正体』についてですか?」


「む・・・誰から聞いた?お二方の正体はモルクレイの者でも知らん筈だ」


「モルクレイ家のゴードンさんから聞いた『真実の歴史』とニールさんとアマンダさんとの会話からの推測になりますが、あの二人が天空神を倒し、天神教を衰退させた物語に出て来る男女なんだろうなと」


「はぁ・・・解っているとは思うが他言無用だ。その上でもう一つ伝えておきたい事が有るが聞く気はあるか?」


 溜息を吐いたアンモン様は僕に念を押した上で話を進めた。


 うんまぁ僕に拒否権なんて無いよね・・・・・

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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