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 夏休みも終わり後期が始まった。

 と言っても僕達最終学年は、週に一度学園に顔を出すだけで授業は無い。

 これは学生の就職活動の妨げにならないようにするための措置なんだけど、大抵の人はさっさと就職を決めて遊び回っていたりする。


 まぁ、偶に先に遊び回って就職出来ない人も居るらしいけど・・・・・


 で、既に就職が決まっている僕はと言えば仕事に勉強と夏休みと殆ど変わらない生活を続けている。

 え?工具は買ったのかって?そりゃあ勿論買いましたよ、本職用のを一式。


 お陰で夏休みに稼いだ分が殆ど消し飛びましたけど・・・・・


 まあ来年には一人暮らしをする予定だし、色々入用になるだろうからと仕事を続けている訳です。


 そんなある日の事、アリサさんから来た手紙に返事を出すために商業組合で手続きをしたり依頼を受けたりしていたら背後から声を掛けられた。


「オルト君、こんにちわ」

「やっほ~」


「え?あ、こんにちわ」


 同じ組の女子二名と他に一人の三人が僕の後ろに立っていた。


「私達は就職活動の一環で見学に来たんだけど、オルト君はもう就職決まってたよね?何しに来たの?」


「え~っと・・・夏休みに旅行に行ったんだけど、そこでお世話になった方に手紙を出した序に依頼を受けに」


 組合の仕事を見学に来たと言う彼女達にアリサさんの事はぼかして簡単に説明した。


 婚約したとか知られたらどんな目に合うか解らないし。


「旅行か~・・・・・」

「私達も就職が決まったら何処か行ってみる?」

「それもいいかもしれませんわね。ああ、オルト様は夏休み前に購入された魔導二輪で行かれたのですか?」


「ええ、そうですけど・・・あの、何方様で?」


「あら、覚えていないのですか・・・魔導二輪にしか興味がないと聞きましたが噂通りなのですね」


「はぁ・・・すみません、僕は余り頭が良くないので目標以外に割く余裕が無いんです」


「フフフ・・・そう卑下するものではありませんわ」


「いえ、事実ですから。それじゃ、用が有るので失礼します」


 覚えていない僕も悪いかもしれないけど、名乗りもしない人なんて興味も沸かないし相手もしたくない。

 だからと言う訳ではないし急いでいる訳でも無いけど配達の依頼をこなさないとと軽く頭を下げてその場を後にした。


 どうせ卒業したら滅多に会う事も無いだろうし?ちょっと自意識過剰かもしれないけど、お茶とかご飯とか誘われたら面倒だしね。


 ゴードンさん達曰く僕はモテるらしいし・・・いや、僕的には信じられないんだけど。


*


*


*


「数が合わない?」


「はい。報告ではこの一月で五十人以上の者が神殿に入ったまま出て来ていないそうです」


 王都の南で経営難となった老舗の商会を来年ゴタードで買い取る事になり、その事前交渉に顔を出したついでに王城でサルバトールからアルビエルに潜入している諜報員からの報告を聞いた。


「裏口とか隠し通路からとかもか?」


「隠し通路の存在は否定出来ませんが、実際に行方不明の捜索依頼が家族や友人から多数出ているそうです」


 自国だけでなく周辺国にまで募集を掛けて集めた魔法使いが行方不明?しかも五十人以上?


「・・・集めた魔法使いで何を企んでやがる・・・・・」


「解りません・・・流石に神殿内部に潜入させるのは危険過ぎると止めておりますので・・・・・」


「・・・アマンダは如何思う?」


「如何って言われても・・・魔法使いが大人数でやる魔法なんて攻撃魔法位しか知らないわよ」


「戦争するにしたって大規模攻撃魔法なんて隙だらけで攻め手向きじゃないしな・・・・・」


 五人から十人一組で何組か作って波状的に撃ち込むつもりか?だとしてもうちの高機動車両部隊に勝てるとは思えないんだよなぁ・・・・・


「取り敢えず国境の警戒強化と周辺国の情報収集を頼むよ」


「それは勿論です。と言いますかそれこそ我々の役目ですから」


「いや、そうなんだけどさ、元はと言えば俺、と言うか俺達と天神教の問題だから」


「ニール様、それはもう遥か昔の事に御座います。例え天神教が未だにニール様達を恨んでの事だとしても、それを理由に他国を攻めると言うのはお門違いと言う物です」


 アルバハンの言う通り昔の事かもしれないけど、あいつ等が信仰している神を殺したのは俺達な訳だし無関係を決め込む訳にはいかない。


 つーか、先に喧嘩売って来たのはあいつ等の方なんだからやり返されて文句言う資格はねぇし、侵攻して来るなら半端に許す気もねぇ。

 上層部つーか神殿諸共潰して再起出来ないようにしてやるから楽しみにしとけ。


「何にしても奴等が攻めて来たら問答無用で俺達はアルビエルに直接乗り込むからこっちの事は頼むわ」


「こちらの事はお任せ下さい・・・その・・・お二人の〝力〟を疑う訳ではありませんが無理の無いようお願いします」


「ああ。それじゃ」


 王城を出て西の衛星都市を抜けて更に西へ。

 ツォアルとゲベル間の新規開拓で止めてしまった海岸沿いの製塩施設の現状確認のためだ。


 ハビラ王国ではアラバ塩湖で塩を作っているのだが、数年前からアラバ塩湖の水位が下がり始めているために西の海岸沿いの町に製塩所を造り、塩湖と海水の半々にする予定だ。

 まぁ人口増加に伴ってアラバ塩湖だけで塩を賄えなくなってきたと言う訳だが、長年塩湖の塩に慣れ親しんだ者達からすると味の違いに戸惑う事になるとは思う。

 そして塩湖の塩は生産量が減る事により値が上がる事になるだろう。


 王都の、水上都市の景観を護るためとは言え、これも時代の流れかねと苦笑いをしながら西へと向かった。

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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