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 夕食に僕が買って来たお土産のチーズが並び父と母に気に入って貰えて胸を撫で下ろした。

 口に合わなくてそれで反対されたら洒落にならないし。


「旨いなこのチーズ!」

「ほんと美味しいわ~、この辺で買ったら幾らかかるかしら・・・・・」

「お貴族様御用達の商会とかでしか買えんだろ」

「そんなお店怖くて行けないわね・・・・・」


「あ、手紙を出す約束になってるからその時に注文しようか?」


「あら、それだと輸送費で割高になっちゃうんじゃないの?」


「うん、まぁ僕も食べたいし、多少高くても美味しい方がいいでしょ?そうそう、アバタ領に入ってからは何を食べても美味しかったんだよ、実が詰まっているって言うか味が凄く濃くってさ、食べた物の中で不味かった物なんて一つも無かったんだ」


「ほー・・・・・」

「まぁ、そうなの?」


「そうそう、それと漁師町で生の魚貝類も食べてみたんだけど凄く美味しくってさ、あの時の衝撃は言葉じゃ表せない程だよ」


「・・・生で食べられるのか・・・・・」

「・・・生だなんて信じられないわ・・・・・」


 食事以外にも巨大な魔導車、重機の話とか良い人達に会ったと旅の話で盛り上がり時は進み、食後に両親はお酒を、僕はお茶を飲みながら話を切り出した。


「・・・ふぅ、父さん、母さん、僕ってエルフの混血なの?」


 僕の問いに父と母は眉を顰め少し悲しそうな顔をして答えた。


「ああ、そうだが?別に今時珍しいものでもないだろ?」

「エスタがエルフと人族の混血で、私は母がエルフと人族の混血で父が人族よ」


 ゴードンさんの言った通り僕はエルフの混血だった。

 少し衝撃を受けたけど、父さんの言った通り今時珍しくも無いし寧ろアリサさんと結婚するなら混血で良かったと胸を撫で下ろし、大きく息を吸ってから好きな人が出来た事、そして婚約した事を二人に話した。


「何を言っとるんだお前は?」

「なぁに、夢でも見たの?」


「違うから!今二人が食べてるチーズを作ってるモルクレイ牧場の娘のアリサさんと婚約したの!」


「・・・・・お前が?」

「魔導二輪じゃなくて女の子と?」


「いや、魔導二輪は好きだけど婚約は出来ないから」


 父さんと母さんは中々信じてくれなくて・・・・・


「「・・・・・」」


 終いには目を見開いたまま固まってしまった。


「ご両親のゴードンさんとミザリーさんとも話し合って許可も貰ったんだ。二年間真面目に働いて一人前の整備士になったらゲベルに引っ越してアリサさんと暮らすつもり。後は父さんと母さんが認めてくれればなんだけど・・・・・」


「・・・向こうの親御さんは本当に認めてくれたんだな?」


「うん。アリサさんは一人娘なんだけど、牧場の経営はゴタードに譲渡してミザリーさんのご両親がゲベルで経営している肉屋を継ぐ事にしたって」


 一通り説明を終えると父さんと母さんが頷き合って何かを決めたようだった。


「ふむ・・・なあサラ」

「ええ、いいわ、エスタ」


「え?なに?僕にも解るように―――」

「俺達もゲベルに行くぞ」


「は?父さん仕事は?」


「ああ、うちの商会もゴタードにって話が出ててな、全商会員に残るか辞めるのかを年内に決めるよう言われた」


「ええ?!」


 父さんの商会もゴタードにと言う話を聞かされて困惑していると、父さんは更にとんでもない事をブッ込んで来た。


「正直ここ数年は売り上げが下がり続けていて挽回する目途も立っていなかったし、ここが引き時だと会長も仰られていた。なんだかんだ八十年も勤めた商会だが時の流れには逆らえんと言う訳だ」


 父さんが八十年働いてきたと聞いて困惑して歳を聞いてみた。


「・・・・・は?八十年?父さん一体何歳なの?!」


「私か?私は百二歳だ」


 ひゃ、百二?じゃ、じゃあ・・・・・


「・・・か、母さんは?」


「私?私は七十三だけど?」


 な、七十三?!二人共四十半ば位にしか見えないんだけど・・・・・


 両親が普通の人族なら年寄り所か寿命が来ててもおかしくない年齢だと知り更に困惑し、自分の年齢が間違っているんじゃないかと不安になって確認した。


「・・・・・え、えっと、僕は十八で間違いないんだよね?」


「ああ、サラと出会って三十二年か?」

「そうね、その後三年付き合ってから結婚して貴方が生まれたのよ」


 よ、良かった・・・認識通りの年齢で・・・・・


「そう言えば向こうさんは寿命の事は如何思っているんだ?」

「そうよね、それで破談になったらアリサさんに申し訳ないわ」


 あれ?も、もしかしてゴードンさんも・・・いや、それだと聞かされた歴史の話と年数が合わないか・・・・・


「いや、その・・・向こうはドワーフと人族の混血で、お爺さんとか曾お爺さんも何処かで生きているかもしれないって言ってた」


「ドワーフの混血なら寿命の問題も無いな」


 そんなこんなで僕の両親も納得して認めてくれて安堵の息を付いた。


 父さんは年内いっぱいで仕事を辞めてゲベルに向かい、仕事と住居を探すついでにモルクレイ牧場に挨拶をしに行く事になった。

 母さんは引っ越しの準備をしつつ父さんからの連絡を待つ事になる。


 そして僕は両親の引っ越しと同時に一人暮らしをする事が決まった・・・いや、展開早過ぎるって・・・・・

ここまで読んで頂き有難う御座います。

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