じゅう
あれ?
ふゆちゃんて甘党だったな。
コーヒー飲めたっけ?
紅茶の方が良かったかな…。
「お待たせしました。」
マグカップと砂糖、温めた牛乳をふゆちゃんの前に置く。
ふゆちゃんは何のためらいもなく、砂糖をドバドバ。牛乳をドボドボ。
もはやホットミルク、コーヒー風味である。
やっぱり、コーヒー苦手だったか…。
しかし、コーヒーを飲む仕草、尊い!
裏方の仕事をされていても、タレント顔負けのビジュ!
デビューして欲しい!
ヲタク脳がフル回転してしまった。
「ハル、元気そうだね。」
「は、はい。」
「シゲさんから、ここんとこハルが荒れてるって聞いて、顔見にきたんだ。」
「でも、大丈夫そうで良かった。ケンカしてたの?」
「!」
何と説明していいもんやら…。
「あ、責めてるわけじゃないから。
結婚してからハル、すごく良くなったから。仕事もステップアップしてきてるし。ミッチーのおかげ。」
「そ、そんな 私なんか…。」
「ハルって、育ってきた環境が特殊じゃん。その影響かどうかはわからないけど…
難しい性格でしょ?」
ふゆちゃんはちゃんと、ハルのことわかってるんだ。
闇堕ちする事も。
「頭、痛かったよね。」
あ!包帯。
髪で隠したつもりだったけど、バレてる。
「昨日の夕方、ケンカしたみたいで。
その時、頭怪我したみたいで。」
「ミッチー、なんか他人事みたいだねw」
「実は…。その時、記憶飛んじゃったみたいで。ハルと結婚してる事も覚えてなくて…。
ふゆ…社長のことも覚えてなくて。失礼があったら、すみません。」
とたんに、ふゆちゃんの眉間に皺がよる。
「あ、でもでも、それからハル すごく大事にしてくれて。だから、大丈夫です。」
どう言えば良かったのだろう?全部言っても、信じてもらえる気がしない。
ふゆちゃんは、大きなため息をつき、こう言った。
「ミッチーが犠牲になる事は無いんだよ。命の危険があったら、迷わず俺に連絡して。ハルはミッチーに執着しすぎてるから、ダメな時は俺が匿うから。」
真剣にふゆちゃんは言った。
さっと、血の気が引くのを感じた。
「社長!お待たせしました!」
「うん、行こうか。
ミッチー、コーヒーごちそうさま。」
「みちる、行ってきます!」
何とまぶしい笑顔!
私は2人を玄関まで見送った。




