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『魔王第二の人生――こんどは人間界に転生したので、世界をリノベします――』  作者: 木口タカシ


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第12話 職人集結、魔王の力と勇者の知恵

今回、魔王に舞い込んできたのは、広大な道の駅の内装工事。


勇者からの依頼を受け、側近や大工のじじいも加わり、職人たちを束ねることになった魔王。

果たして、数多くの製作物を無事に納めることができるのか。


世界征服とはひと味違う、魔王の現場指揮が始まります。

ある日の午後。


工房で図面を広げていた俺のもとに、見慣れた男が訪ねてきた。


勇者である。


「魔王よ。少し大きな仕事を頼みたい」


「ほう。また何か問題でも起きたのか?」


「問題が起きる前に、お前の力を借りたいのだ」


勇者は一枚の図面を机の上に広げた。


そこに描かれていたのは、広大な敷地に建設された観光施設

――いわゆる『道の駅』だった。


地域の特産品を販売する物販コーナー、レストラン、観光案内所、休憩スペース。


さらに、災害時には地域住民や旅行者を受け入れる防災拠点としての機能も備えているという。


「建物本体の工事はすでに終わっている。これから各店舗や施設の内装工事に入る」


「なるほど。建物の器はできたというわけか」


「だが、中身はまだだ。カウンター、陳列棚、テーブル、受付什器、造作家具……内装に関わる製作物は相当な数になる」


勇者は図面の束を指で叩いた。


「お前には内装工事全般をまとめてもらいたい。図面の作成から製作物の手配、現場での取り付けまでだ」


俺は図面に目を落とした。


寸法、仕上げ、取り合い。


見れば見るほど、仕事の全体像が頭の中に浮かんでくる。


「ふむ。これは一人で抱える仕事ではないな」


そのとき、横で図面を覗き込んでいた側近が口を開いた。


「魔王様。今回の仕事であれば、あの大工のじじいにも協力をお願いしてはいかがでしょうか」


「じじいか……」


かつて様々な改修工事で力を貸してくれた、あの老職人である。


「確かに、木工造作の腕は申し分ない。呼んでくれ」


――


しばらくすると、工具袋をぶら下げた大工のじじいが、いつもの調子で工房に入ってきた。


「なんじゃ。また面倒な仕事を始めるのか」


「面倒かどうかは、図面を見てから判断してもらおう」


じじいは図面を手に取り、しばらく黙って眺めていた。


「ほう……。こりゃあ、造るもんが多いな」


「そうだ。お前には木工造作を中心に頼みたい」


「よかろう。じゃが、寸法だけはきっちり出しておけよ。現場で削って帳尻を合わせるような仕事は、わしの性分に合わんでな」


「当然だ。納まりは図面の段階で決める」


二人の会話を聞いていた勇者が、呆れたようにため息をついた。


「お前たちは、仕事の話になると本当に細かいな……」


「建物は細かいところで決まるのだ」


俺は図面をまとめ、立ち上がった。


「では、現場を見に行くとしよう」


――


翌朝。


現場には、すでに多くの職人たちが集まっていた。


建物本体の工事が終わり、各業者が内装や設備の仕上げに入る段階である。


俺は今回、内装工事を取りまとめる職長として朝礼に参加した。


勇者が現場全体の工程を確認し、各業者の作業予定を読み上げていく。


「本日の作業内容を確認する。各業者は作業範囲と搬入経路を守ること。通路への資材の仮置きは禁止だ」


続いて、俺の番が回ってきた。


「内装工事について説明する。物販コーナーの陳列什器、レストランのテーブルとカウンター、観光案内所の受付什器を順次製作・搬入する」


俺は手元の図面を開いた。


「各製作物は、図面と現場寸法を照合し、取り合いを確認してから製作に入る。搬入時には他業者の作業と重ならぬよう、工程を調整する」


「魔王よ。製作物の数が多い。工程管理を徹底してくれ。特に搬入日を間違えるなよ」


「案ずるな。図面と工程はすでに整理してある」


「それならいい。だが、安全管理も忘れるなよ」


「ふむ。勇者よ、お前は相変わらず心配性だな」


「現場では、その心配が必要なのだ!」


――


朝礼が終わると、俺は側近と大工のじじいを連れて施設内を確認した。


物販コーナーには商品棚を並べるスペースがあり、レストランには客席と厨房を区切るカウンターがある。


観光案内所には受付カウンター、休憩スペースにはベンチやテーブル。


それぞれの場所に必要な製作物が待ち構えていた。


「側近よ。まずは現場寸法を確認し、図面との相違を洗い出せ。設備や電気との取り合いも忘れるな」


「承知いたしました。私も図面を確認し、各製作物の一覧をまとめておきます」


「じじい、お前は木工造作の製作寸法を確認してくれ」


「心得た。じゃが、現場の寸法が図面と違っておったら、すぐに知らせるのじゃぞ」


「もちろんだ」


俺は広い施設内を見渡した。


建物の骨格は完成している。


しかし、ここを訪れる人々が快適に過ごせる場所にするには、まだ多くの仕事が残されていた。


物を売る場所。


食事をする場所。


旅の疲れを癒やす場所。


そして、いざというときには人々を守る場所。


それぞれの役割に合わせ、必要なものを造り、正しい位置に納めていく。


「よし、皆の者。仕事に取りかかるぞ」


俺は図面を広げ、職人たちを見渡した。


「この現場、我が仕切る。すべては図面と納まり次第だ!」

今回は、魔王が職長として現場を仕切るお話です。


道の駅の物販コーナーやレストラン、観光案内所など、さまざまな施設の内装工事を舞台にしました。


図面の作成から什器の製作、搬入、取り付けまで。


建築や内装の仕事では、職人同士の連携や、設備・電気との取り合い、そして工程管理が欠かせません。


魔王の力、勇者の知恵、そして職人たちの技。


それぞれの持ち味を生かしながら、どんな現場になっていくのか。


次回もどうぞお楽しみに!

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