15Ayane
「かっこいい」ではなく、ひとつひとつのルーティンが積み重なって全体が形作られた時の美しさ。
積み重ねが織りなす質感。といいますか、そういうものを大切に育てたブランドです。
「彩音Ayane」彩は笑顔で会場を見渡しながら挨拶した。
彩が基礎化粧品専門ブランドを立ち上げて10年の節目を迎えたパーティー。
「私は、幼い頃から「おしゃれ番長」と言われ続けてきました」
「特に同性から相談されたり、ショッピングに誘われ続けてきました」
「いったい、私の何が皆からそう迎えられたのか。ずっとずっと考え続けました」
「その結論が「肌の質感」でした」
「皆さんそれぞれの顔色、肌の質感、ボディスタイルをmake upしてあげられる人になりたい」
「10年前、そんな思いから「彩音Ayane」は誕生したんです」
「いろいろな苦労がありました。当時、理系大学に女子は少なかった。研究テーマが曖昧だ。とか
自然派と化学の境界線。とか」
「でも、私は「おしゃれ番長」であり続けました」
「男子学生のニキビケアを一緒に考えたり、教授の薄毛の相談にも乗りました」
「そうしているうちに周りに変化が現れました。男友達に彼女ができたり、教授が学会で賞賛を
浴びたり。卒業式には袴姿で胴上げされてしまいました」
「外見の変化から内面が磨かれていく様を体感しました」
「ですから、これからも質感の高さを追求してゆく所存です」
「皆様本日はありがとうございました」
「先日、親友から嬉しい言葉をいただきました」
「彩の言葉が人生を変えた」と。
「私の言葉が、彼女の裏側に隠された悩みや葛藤を排除できた喜びは、私に大きな幸福感を
もたらしました」
「凛、私の方こそ大きな幸福感をくれてありがとう」
私は、後列で微笑んで親指を立てた。
♪♪その⑱♪♪
コンプレックスを「置いておく」ことにして、
奏と本当は、小学六年の時に知り合っていたことを知って、
そのコンプレックスを奏は大好物だと言った。
奏のために「とっておいた」ようなものだ。
私は、「まんざらでもない」
「もぉ」
了




