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13Los Angeles

 遠野凛 29歳・上級エージェント/リーダー  遠野奏 28歳・上級エージェント /フィールド補佐

 健人  28歳・元ハッカー          彩   29歳・女性実業家


◇奏語り◇

ジャック・ルソーの家族主義では、多数決ではなく、

「理性」を元にした共通の利益のみを重要とされる。

議論を重ねて寄り添える部分のみを法令として採用する。それが「正しい自由」。

そう、オレと凛は、最大公約数で深く深く繋がっている。

ディールメーカー健人は、オレの親友でロサンゼルスにいる。

大学時代に知り合った。当時、健人はハッカーだった。

義理のお兄さんの母親がディズニーの版権の権利を有していて、

今では健人は役員に名を連ねている。

ビバリーヒルズに住んでいて、年に一度は連絡を取り合う仲だ。

◇/◇



内調の公務の中心から離れたと言っても、切り離されたわけではない。

むしろ、奏と二人で動く細かい任務が与えられる。

極たまにプライベートな相談に乗ることもある。

「奏、健人さんの相談って?」

健人から相談(内容は書かない)(凛に怒られる)があった。

「○○○の物理的なセキュリティーについて。」

「それは・・・仕事よ」

「了解。凛が、それは仕事よ って言ってると調査室に電話するよ」

調査室に電話をいれた。

「なんて?電話代ろうか?」

「凛がリーダーで、オレが補助。二人だけで動ける計画書をメールで送れって」

「了解。任務としては難解だけど、奏、地図書ければ、私がなんとか出来ると思う」

「これ、室長に借りつくることにならないか」

「ならない。貸しよ」

細かい話を詰めて、私の名前で任務になった。

茨城空港から神戸空港。関西国際空港からLAに飛ぶ。

神戸ひと泊で飛んだ方が、成田より、私の気分が楽だ。


神戸牛を食べてから、LAに飛び、(よく食べてよく寝た)健人さんに会いに行った。

私は、グレーの地味なスーツ姿でブロンズバレッタで髪をアップにして、

ただ足元はニューバランス990だ。

最近気に入ってるチタンフレームの眼鏡をかけている。

奏とお揃いの990。ペアのグランドセイコー。

「髪をアップにして眼鏡かけると仕事モードってなるね」

「そうだな。凛、健人に会うのは初めてだよな」

「電話で打ち合わせさせてもらったし、奏の親友だから構えてないよ」

「ああ、わかってる。仕事キッチリってな」

しかし、ビバリーヒルズには縁遠いペアだ。門番たちは、一瞬戸惑いを見せるが、

凛の眼鏡の奥の視線に無言で頷くしかない。

「たぶん、CIAだと思われている」

相変わらず目立つことなく周囲に輝きを放ってしまう。

「だったら、奏の身内のようなものでしょ」


健人さんは、大きなお屋敷に住んで、優雅な暮らしをしているという感じだった。

「改めて、はじめまして。お初にお目にかかります。遠野凛と申します」

「健人です。凛さんですね。電話の声のイメージ通りの美しい方ですね」

「いいえ、奏のご親友ということで、構えずに且つ丁寧に任務を遂行させていただきます」

「凛さん、了解です。奏、久しぶり。どお?我が家初めてだよね」

「健人、久しぶり。変わりなく不釣り合いな生活を送ってそうだな」

「ああ、ポルシェを持っているのにビーチにリムジンで行ったよ。恥ずかしいよな」

「うーん。恥ずかしいというより……」

「かわいそうですね」と真顔で私は言ってしまった。

関係者一同から笑いが起こった。ジョークに対しての返しのつもりなのだろう。

私は、そういうジョークは言わない。奏は、気づいた。たぶん健人さんも。



任務は、健人さんとの打ち合わせ通り、奏のマップに従い、私が何人かと面談させてもらった。

推測通り、ボトルネックは自然となくなった。東京と確認作業をして無事に任務終了となった。

健人さんの総評を奏が聞いているところだ。

「凛さんは草薙素子」私の耳に届いた。

「それは……褒め言葉ですか?」と私は割り込んだ。

「当時のオレたちの間では、最上最高級の褒め言葉」

「義体じゃないし、光学迷彩もありません」

「そうだね。でも立ち振る舞いが綺麗だし、面談の様子をモニター越しに観てて思ったんだ」

「奏、そう思わない?」

「うーん。オレは、健人の知らない凛を知ってるから少し微妙かな」

私は気になった。微妙のわけを。

「奏、なんで微妙なの?褒め言葉なんでしょう?」

「言っていいの?いろいろあるけど、一言で言うと「体温が高い」かな?もっと言うか?」


「もういい。やめてください。」私は赤面した。



ここには私の親友も住んでいる。おしゃれ番長の彩だ。白のチビTシャツを私に贈ってくれた。

明日、マリブビーチのレストランで会う予定だ。「えくぼ」健在かな?奏にとっては恩人のような人だ。

健人さんもリムジンで駆けつけてくれるかもしれない(笑……)

奏がハーレースポーツスター借りてきてくれるって。




♪♪その⑯♪♪


「凛、あの白いTシャツって、もう着ないよね?」

「どおして?ジャケット羽織れば着れるかなって思ってたの」

「オレから着てって言い辛いし……そっか。いいんだ」

「なあに?着てほしいの?」

「いや、そうじゃないんだ」

「奏、ハッキリ言って」

「うん。もらって額に入れて飾ろうかな」

「えっ?」「どおして?」

「タンスに入ってるの知ってるから」

「奏、よくわからないよ」

「だから、そこにいるのは分かってるんだぞって思うからだよ」

「着てほしいってことじゃない」

「違うよ。Tシャツのくせに存在デカ過ぎなんだよ」

「わかったよ。寝間着か部屋着で、たまにTシャツに会わせてあげるよ」

「うん。お願いします」



「もぉ」




続く

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