第45話 和食の方がいい
「絢星さん、色々なお店がありますね。」
「そうだな。いい感じの店あったか?」
2人でレストラン街を歩きながらそう返す。
「家では洋食を食べることが多いので、和食の方がいいのですが…。やっぱり私一人で決めきれないので絢星さんのおすすめを聞いてもいいですか?」
「俺に聞かれてもな…、そんなここで食べないし。俺も一応和食の店探すから。」
「ありがとうございます。」
それにしても、ここは他のところに比べて人が多いんだよな。希空とはぐれたら流石に探し出せないな。
…ショッピングモールで本格的な和食ってないんじゃねぇか?見た事ねぇし…。
「あ、絢星さん。あそこの旬楽庵というお店はどうですか?和食料理が沢山ありますよ。」
ここって和食の店あったのかよ。普通に全然来ないから知らなかったんだけど。
「いいんじゃないか?さっきも言ったけど、俺は希空に合わせるからな。」
「じゃああそこのお店にしましょう。絢星さん、早く行きましょ。」
希空の歩く速度が少しだけ早くなった気がする。そんなに腹すいてんのか?まぁ俺もさっさとなんか食べたいし急ぐか。
俺と希空は店に入り、店員に案内され席に座る。
「先にメニューみてもらって構いませんよ。私は絢星さんが見てるのを反対側から見るので。」
「ん、じゃあ先に見させてもらうわ。」
天重膳に海鮮ちらし膳、和牛炙り重膳に銀鱈西京焼膳…、結構色々あるな。ガッツリ食べたい訳じゃないけど、適当にこの店の看板メニューでも頼んどくか。
「はい、俺決めたから見ろ。」
「いえ、大丈夫です。私ももう決めましたから。」
「お前、よく反対にして読めるな。俺普通に苦手なんだけど。」
「まぁ、日頃から資料を反対に渡してくるからが多いので…。ただの慣れなのであまり気にしないでください。」
「そうなのか。まぁ腹減ってるしさっさと頼もうぜ。」
そう言って、卓上にある呼び出しボタンを希空に押してもらい、店員が来るのを待つ。店内は賑わっていたが、押して30秒ほどで俺たちのいる席に来てくれた。
「大変お待たせ致しました。ご注文お伺いします。」
「鰻と玉子の重ね重膳ってやつと…。」
「胡麻豆腐と汲み上げ湯葉膳をお願いします。」
「かしこまりました。それではご注文繰り返させていただきます。鰻と玉子の重ね重膳がおひとつ、胡麻豆腐と汲み上げ湯葉膳がおひとつ、以上でお間違いないでしょうか?」
「はい、大丈夫です。」
「かしこまりました。できあがりまで少々お待ちくださいませ。」
丁寧に頭を下げて去っていく店員の背中を見送る。
「そういや希空、デザートは頼まなくてよかったのか?」
「はい、お膳を食べたらデザートはお腹に入らないので…。」
俺、希空くらいの頃、そんなこと考えずに食べたいもん頼んでたからな…。そこら辺ちゃんと考えてんの偉すぎるとは思う。
「じゃあ途中で家に帰ってから食べられるようなものだけ買ってくか。」
「いいんですか?」
「別にいいよ。海音さんもなんにも買ってこなかったらなんか言ってきそうだし。」
「それもそうですね。」
それからも希空と、頼んだものが来るまで少し雑談を続けた。




