第35話 もう好きにしてくれ
「けど私と絢星くんのどこが夫婦に見えるの?」
「なんとなくです。」
なんとなくって…、希空の勘は俺には分からねぇし理解は諦めるか。
「そんなことはどうでも良くて、何時に帰るんだ?」
「んー、気分次第かな。絢星くんがいいなら止まったっていいんだよ!」
「遠慮したい。てか、まず泊まろうとするなよ。」
「お姉様、絢星さんの言う通りですよ…。」
希空がまともすぎる、こいつの兄妹は…、まぁそういうことだ。
「少しは泊まりたいかもしれないですけど…、私が絢星さんのお家に泊まるのは迷惑になりますし…。」
こいつもまともじゃないかもしれない。
少しでも期待したのが間違いだった。
「絢星さんのお家はかなり落ち着くので…。」
「あー、それなんかわかるかも。絢星くんの家なんか落ち着くんだよね。」
「落ち着くか?」
「絢星くんは普段からここで過ごしてるから分かんないんじゃなーい?」
どうなんだろうな、俺が慣れてるだけでこの家落ち着きやすいのか?栞達も過ごしやすそうだし落ち着くんだろうな。
「で、泊まるのか?」
「えー?泊まって欲しいのー?」
「別に、帰ってもらった方が嬉しいけど。じゃあ俺買い出し行ってくるから。」
「はーい、行ってらっしゃーい。」
今日の夜ご飯どうしよっかな。コロッケとか作ってみようかな、母さんもコロッケ好きだし結構作った方がよさそうだし、普通に買い出し何回も行くのめんどいし大量に買っとくか。
「絢星さん、私もついて行ってもいいですか?お世話になってるので、少しお手伝いしたくて…。」
「いや…、わかった。それならもう行くから準備するならしてくれ。」
「はい!けど準備は特にないので早く行きましょう。」
「希空行くんだ。私は家帰って泊まりの準備してくるねー。」
「もう好きにしてくれ…。」
海音さんの対応はもうめんどくさいし、諦めて自由にやらせることにした。迎えを呼ぶ海音さんを横目に俺と希空は靴を履いて外に出る。
ガチャ
「絢星さん、あのようなお姉様はもう止まりませんので…。せめて私が少しでもお手伝いしますね。」
「それだと助かる。1人だと大変だからな。」
「えへへ、絢星さん、今日のご飯はなににするんですか?」
あー、海音さんの言ってたうさぎっぽいって意味わかってきたかも。
「母さんに持ってくものとか考えて、まぁコロッケとかにするつもり。」
「お母様、ですか?そういえば、絢星さんのお母様はお家にいらっしゃらないみたいですけど…。」
「まぁ入院してるからな。」
「………。そうでしたか…。すみません、配慮ができてなくて。」
真面目すぎるな。別に死ぬ病気とかじゃねぇからそういう雰囲気にしなくていいんだけど。
いや勘違いしてるだけか。
「そんなんじゃないから別にいいよ。あれなら買い出し行く前に母さんのところ行くか?」
「…いいんですか?それならぜひお会いしたいです。」
「わかった。じゃあ買い出しは帰りに行くからな。」
「はい!」




