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第3話 一緒に食べよ?

 「相変わらずこの時間も人多いな。」


 俺が暮らしている地域の市立病院には近くに他の病院がないため、人が集まりやすい。

 俺は母さんの面会が目的だから、診察待ちの人たちを横目に面会受付に足を運ぶ。


 「あ〜月森さん。お母様の面会ですか?ならいつも通り面会申込書の方をお願いします。」


 まだ何も言ってないんだけど、さすがによく来てるし覚えられてるか。


 「月森さんの氏名、お母様の名前と部屋番号、お母様との続柄、面会目的と今の体温。あと入館時間ね。て言ってももう何回も来てるしわかりますか。」


 「まぁ分かりますよ。」


 これ毎回書くのだるいな。慣れてるしまぁいいか。


 「はい、大丈夫です。ではこちら、入館証です。」


 「あざす。」


 軽く会釈して母さんのいる入院棟の方に行く。

 てかさすがに制服で来てたら少し視線多くなるな…。めんどくさいしどうでもいいけど。


 病室に入る前にナースステーションに寄らないといけない。最初は大丈夫だったけど今となっては…。


 「絢星くん今日も来たのー?偉いねー。」


 「はいはい、これ入館証です。確認できました?早くして貰えます?」


 看護師さんが顔見知りになったせいで毎回絡まれる。もう慣れたけどちょっとうざいかもしれない。


 「冷た、まぁいいや、いいよ。お母さんの病室行ってらっしゃーい。」


 「言われなくても。その前に、顔見知りになったといっても仕事中は敬語くらい使った方がいいっすよ。」


 なんかすっごい嫌そうな顔をしてる。俺なにか間違えたこと言ったか?

 まぁいいや、母さんの病室は513号室、今いるのは1階だしエレベーターで行く方が早いか。


 「エレベーターの前、2人もいる…。」


 ちょうどエレベーターが来た。

 まぁ乗らないとだけど、なんかエレベーターの中で2、3人の時って気まずいよな。

 



 黙ってたら直ぐに5階についた。さっさと降りよ。


 「なんか疲れた…、これだったら階段で行けばよかったな。」


 まぁ今そんなことを思っても仕方ない。帰りは階段で行こう。

 513号室はエレベーターから降りてすぐそこだ。


 「まじ部屋が近いのは楽だな。」


 コンコン、軽くノックする。


 「どうぞ〜。」


 俺は許可の言葉が聞こえた瞬間に病室の扉を開ける。

 

 「あら〜、来てくれたの〜?」


 「まぁ今日少し考え事しててね。それで母さんの事がよぎったからお見舞いに来ただけ。」


 なぜか母さんは少し嬉しそうだ。

 息子の考え事に自分が出ることが嬉しいのか…?


 「果物買ってきたんだ。食べる?林檎と桃だよ。」


 「せっかく買ってきてくれたし食べようかしら。切ってくれる?」


 俺は頷いて1度病室を出る。

 エレベーター横にデイルームがあるのでそこで林檎と桃を切る。


 ザクッ、ザクッ


 「母さん、桃好きなんだよな。」


 ザクッ、ザクッ


 切り終わったしお皿にのせてフォークを持っていく。一応2本持ってっとこ。


 「あら〜、早かったね〜。」


 「慣れてるからな。」


 「そうね。私が教えたんだから当然よ。」


 まぁ誇らしげにしてるのに何かというのは面倒くさいしやめとこう。父さんが母さんのこと大好きだから父さんが帰ってきた時に何言われるかわかんないし。


 「そうそう、一緒に食べよ?」


 2本持ってきて正解だった…。


 「いいよ。けど母さんに買ってきたんだから母さんが多めに食べてよ。」


 「ふふ、じゃあ来てくれたら話そうと思ってたこと、いい?」


 「……。なに?」




 「学校、うまくいってるの?」

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