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第20話 幸せならそれでいいから

 「希空、起きたかい?」


 「おはようございます。お兄様。」


 「じゃあ行こうか。退学手続きは普通なら時間かかるけど、一ノ瀬家の権力を使って1日で終わらせてあげるよ。」


 …何も考えたくない。

 約束を破った私が悪いから、仕方の無いこと。


 「僕は先に車に乗っておくよ。希空も早く来るようにね。」


 「わかりました。」


 …。


 「希空、おはよ。」


 「お姉様、おはようございます。」


 「別に私には敬語とか使わなくていいって言ってるのに、あとお姉ちゃんって呼んでくれた方が嬉しいよー?」


 「お兄様からそう呼ぶようにきつく言われていますので。」


 「はぁ、あのバカ。ま、いいや。車まで一緒いこーよ。」


 「いいですよ。行きましょう。」


 コツ、コツ、コツ


 …。


 「のーあ、何考えてんの?」


 「特に何も…。」


 「そっかぁ。じゃあさぁ、なんかお姉ちゃんに打ち明けたい悩みとかない?」


 「…ない……です。」


 「はい嘘ついたー。希空って嘘つくの苦手だよね。」


 自覚はないけど、そんなに嘘つくの下手なのかな。

 

 「高校辞めたいの?」


 「…っ。」


 「その反応見る感じやっぱ辞めたくなさそうだねー。」


 「…なんで知ってるんですか?」


 「昨日嫌な予感したから陸斗の部屋行ってねー。そこで希空のこと少し話してたんだー。」


 …。お兄様に、物言いできるの、すごいなぁ。


 「一応聞くよ。辞めたいの?辞めたくないの?」


 「…。」


 少し前までなら、別にやめても良かった。だけど、今は絢星さんが隣でお話してくれる、笑ってくれる、友達としていてくれてると信じてるから…。


 「やめたく……ない…です…。」


 「よし、よく言った。お姉ちゃんがお兄ちゃんを何とかしてあげよう。それと、私は希空が幸せならそれでいいからね。守ってあげるから、陸斗になんか言われたら私に話して?」


 「ありがとうございます、お姉様。」


 「よーし、まずはあのおたんこなすを説得するところからだね。」


 コツ、コツ、コツ


 「海音も、この時間に起きてるのか…。」


 「なんでそんな都合悪そうな顔してるのー?あ、退学手続きするって言ってたから2人きりで先に行こうとしてたのか。納得納得。」


 「黙れないかな?希空との約束を破った罰なんだから、海音には関係ないだろ?」


 「お姉ちゃんなんだから関係あるよ。ま、今回の件は一旦水に流してあげたら?」


 「…理由は?」


 「いやさぁ、家族が信頼できない人と話すのがダメなんでしょ?じゃあ多分その人は私信頼できるから希空が話しても問題ないかなーって。」


 「海音はあいつと話したことないだろう。信頼できるできないのスタートラインにすら立ってないのに、よく言えるね。」


 「まぁまぁ、そういう細かいところ気にしてたらモテないよ?今日私がちゃんと話してくる。そこで信頼できるなら希空が近づいても問題ないでしょ。」


 「そういう理屈じゃないだろう…。」


 お姉様、さっきから言ってることが無理やりだな…。


 「1日だけ待って。私が信頼できないって判断したら退学でいいよ。」


 …。


 「はぁ、もう海音面倒くさいからそれでいいよ…。ならちゃんと話してくるんだよ。希空を学校に残したいって気持ちを入れずに、海音が信頼できるって、思えたなら退学はなかったことにしてあげよう。」


 「お兄ちゃんやっさしー!」


 「ありがとうございます、お兄様、お姉様。」


 絢星さんなら、きっと大丈夫。

 私がここまで心を開けたから、お姉様はもっと仲良くなれる。

 うん、大丈夫だよね。

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