第15話 絢星、おかえり
「母さん、やっほ。一昨日ぶり?」
「また来てくれたの?ほんっと絢星は優しいね〜。」
なんでこんな元気なんだろ。
ついでに桃も買ってきたし切ってくるか。
「母さん、また桃買ってきたから切ってくるね。」
「絢星〜?どこからそんなお金出てきてるの?」
「この桃は姉さんがくれた小遣いで買ったやつ。それに基本的には父さんがお金通帳に入れてくれてるから。」
「それもそうね〜。」
母さんは大丈夫だと思うし、4人も心配だから唐揚げ渡したらさっさと帰るか。
「母さん、ご飯作ってきたけどいる?」
「え?作ってきてくれたの〜?もちろん食べたいから貰うわ。」
「はいはい、その紙袋の中のタッパーに入ってるよ。じゃ桃切ってくるから。」
「行ってらっしゃーい。」
じゃ桃切ってくるかぁ。
いつも通りエレベーター横のデイルームに入る。
ザクッ、ザクッ
…ちょっとくらい食ってもいいよな。
うめぇ、やっぱ桃好きだな。
切り終わったし病室戻るか。
「母さん、切ってきたよ。」
「置いといて〜。絢星の作った唐揚げ美味しいよ。やっぱ私が教えたレシピで作ってるの?」
「まぁ、それ以外作り方知らないし。」
「ふふっ。それより紬から聞いたよ〜?今日4人が遊びに来てるんでしょ〜?」
「うん、心配だしさっさと戻んないとだから、母さんは大丈夫でしょ?じゃあ帰るから。」
「は〜い。またなんか作ったら持ってきてね〜。」
ガチャ
さっさと帰ろ。そう思って病院を出る。
「あー、悠真デートしてんじゃん。無視して帰ろ。」
カフェから悠真と彼女が出てくるのを見てしまった。デートを邪魔するつもりないし話しかける必要ない。楽しそうだし。
…ここにいるってバレたらあいつがめんどくさいし。
「外あっつい、まだ春だよな…。さっさと帰って昼ごはん食いてぇ。」
そうして俺は足早で家に帰った。
「あ!あやせにぃちゃんおかえり!」
「ただいま、瑞雪は起きた?」
「みゆきも起きたよ!あやせにぃにのご飯美味しかった!」
「はい、おはよ。」
ようやくご飯食べれる。冷えてるけどそこはどうでもいいしな。いつも冷えてるご飯食べてるし。
「絢星にぃ、絢星にぃの分の唐揚げ残ってないよ。」
「別にいいよ。…なんか匂うけど、お前ら知ってる?」
いい匂いするし、あ、ガス栓閉めたっけ…。
いや絶対閉めたな。じゃあなんで?
「ああ、それなら…。」
「絢星、おかえり。」
俺が考えながらリビングに入ればエプロンをつけキッチンに立つ栞がいた。
「栞か…、火傷してないよな?」
「それは大丈夫だけど、勝手に火扱ってごめんなさい…。」
「火傷してないならいいよ。それとこれからは俺がいるところで使うこと。姉さんには内緒にしとくから。」
「うん、亜樹と琉生がかなり唐揚げ食べちゃったから、おかずないなって思って、オムライス作ったから食べて。」
オムライス、か。見た目もいいしいい匂いもする。やっぱ姉さんに似て料理上手いんだな。栞は姉さんの手伝いよくしてるって聞いてるし、料理も姉さんのやり方見て覚えたのかな。
まぁとりあえず…
「栞、ありがとな。」
「大丈夫だよ、絢星。」
そう言って栞は俺に微笑んでくれた。
そして俺は、栞が作ったオムライスを口に運んだ。




