Act.20 「ローズバンク社」
数日前、彼女が乗った飛行機は日本へと向かっていた。
その飛行機は民間機のものとは違い、黒い機体に大きな字で
「Rosebank」とかかれていた。
その会社は世界でも指折りの自動車メーカーである。
表向き、は自動車メーカーである。
この会社には黒い裏の顔がある。
その少女はこのことを知らない。
父の会社が軍事兵器を開発してることなんて
少女は知らなかった。
篠塚が死んでからすでに何週間かたっていた。
あの街でゾンビが大量発生してからしばらくたったが、あの日以来、ゾンビの被害はびたっと止まっていた。
それどころか、あの街にいたゾンビも忽然と姿を消したのだ。
そんなある日、「特研」に一人の外国人が訪ねてきた。
「お…?だれなんだぜ…?」
ドアの向こうで話している黒田さんと所長、そして訪ねてきた外国人をドア越しに覗きながら聞き耳をたてる。
「………開……技……供……引…続き…」
ドアからの距離が遠く何を言っているのかはよくわからない。
「…なにをしてる。」
「うっうわぁぁぁあああ!」
不意に背後から雨宮さんの声がした。
驚いた俺たち(特に雷電)はそのままの勢いでドアに突っ込む。
「あ…やべ…。」
死んだ。どうしてかわからないがこの扉を開けるとゲームオーバーな気がした。
ゴロゴロと転がりながら黒田さんの前にエンカウントする俺たち。
「…し、失礼しました…。」
俺たちは知らない顔をで出ていこうとする。
しかし、その背中を止められる。
「大丈夫だよ!あとで君たちも呼ぼうとしてたから、ちょうどよかったよ!」
所長が俺たちをその外国人の前に整列させる。
「これが先日言っていたアクターの子供たちです。」
「ほう…なるほど…この子たちがアクターですか…。」
その外国人はその色白の肌に反してスラスラと日本語をしゃべっていた。見た目とのギャップがすごい。
「あの…こちらの方は…?」
美咲が疑問を口にする。
「ああ…こちらの方はローズバンク社の日本支社の社長さんだ。」
「社長!?」
「ローズバンクって…あの自動車のですか?」
「ああ、そうだ。私たちはこのローズバンク社に技術を提供してもらって共同で願いの箱を作り上げたんだ。」
なるほどそういうことだったのか。たしかにあの願いの箱はこの研究所だけで作れるとは思わなかった。このときなにか疑問のようなものがふんわりと湧いてきたが、それがなんなのかは明確にはわからなかった。
「それで本日のご用件は?」
「ああ…その話でしたね。実は数日前にお嬢様…レーラお嬢様が来日しましてね。アクターの話を話すとこちらに来たいと言い出しまして…電話でお伺いすることも出来たんですが…下見も兼ねて許可をとりに来ました。」
その社長と呼ばれている人は年齢と地位のわりにはとても物腰が柔らかかった。
「そうでしたか…ええ!もちろん歓迎ですよ!ぜひいらしてください。」
「わかりました…それではまた明日お伺いします。本日はこれで失礼します。」
「お車までお送りします。」
「ああ…すまない。」
明日、レーラお嬢様と呼ばれる人が来ることになった。




