Act.21 「レーラ・ローズバンク」
昨日の社長とともにその可憐な少女は華やかに現れる。
「可愛い…。」
美咲は驚きを隠せない。
その少女は、パソコンの画面の奥にいるような美しく凛とした顔だち、天使のはねを彷彿とさせるアルビノの髪、小さな子が夢見る宝石、ルビーのように紅く染まった眼。日本人にはいない、というより叶わないような、完璧、その言葉が似合う少女がそこにいた。
俺たち男二人は余りの美しさに声を出せない。
「ここが『特別生物研究所』ですの?」
その少女も社長と同様にスラスラと日本語を話す。
「私は…レーラ・ローズバンクですわ!レーラで構わないわ!」
やっぱり…お嬢様ってそういうのなんだな…。
見た目の美しさとは裏腹にすこしワガママなお嬢様らしい口調。
「よっよー!お、おれは…とととととと轟…ら、らら、ら…雷電っなんだぜ…?」
なぜ自分の名前で疑問系なのか。
わかりやすくテンパる雷電。
「…?日本人は変ですの…。」
すごい勘違いされた。
雷電を一般的な日本人認定された。
正直…やめてほしい。
そのとき、久しく聞いていなかったサイレンがけたたましく鳴る。
「皆さん!ゾンビが発生しました!」
どうやら近くの町でゾンビが発生したらしい。
「本物のゾンビが発生したの?私もゾンビに興味がありますわ!」
社長はレーラお嬢様を止めようとしたが、レーラは言うことを聞かない。
俺たちはレーラも連れてそこに向かうことにした。
~~~
「『ヒーロー』Act ON!」
久々にヒーローに変身する。変身の感覚はまだ慣れることはない。
そういえば俺には他のみんなのような特殊能力はあるのだろうか。
それとも…やっぱり俺にはそんなもの無いんだろうか。
そんなことを考えていると、近くのゾンビがゆっくりと近づいていた。
そのゾンビの頭が吹き飛ぶ。
「ボサっとするな。死ぬぞ。」
雨宮さんがそのゾンビの頭を撃ち抜いたらしい。
俺も近くのゾンビ達に攻撃を開始する。
すると、そいつらは呆気なく倒れていく。
「この前より…弱い…?」
明らかにそいつらはこの間のゾンビや体育館に出現したゾンビより弱く、統率もとれていなかった。
ゾンビには学習能力があったはずだが…
「これなら余裕だぜ!」
雷電がギターを鳴らすとゾンビは悶え苦しむ。
その苦しむゾンビは雨宮さんや南原が畳み掛ける。
美咲のフェアリーは攻撃型ではなくサポート型である。
美咲が輝く羽から光を放ちながら踊ると、俺たちのスピードやパワーなどの能力が上がる。
美咲のフェアリーは羽こそあるが、まだ空を飛ぶことは出来ない。
いずれ飛ぶことが出来るらしいが…。
30分ほどたつとゾンビの9割は倒れていた。あとすこし、やつらはもう虫の息だ。
俺は残り数体のゾンビをジリジリと追い詰める。
宿題の最後のように、終わりが近づくとやる気が増加する。
俺は最後のゾンビに攻撃を仕掛ける!
その時だった!
ヒーローが光輝き、更なる力がみなぎる。
俺は突然の出来事に驚きを隠せない。
その間にゾンビが逃げ出していく。
「待ちやがれ…!」
逃げ出すゾンビの前に雨宮さんが立ちふさがり、そして、
バンッ
乾いた音が1発響いた。
「…次は逃がすな。」
「あ…すんません。」
雨宮さんはあまり強くは怒らなかった。
雨宮さんも何かを感じたらしい。
今のは…なんだったのだろう…。
何かが始まる気配がした。
「ずごいですわ!かっこいいですわ!」
不意にレーラお嬢様がこちらに向かってくる。
「いいですわね!かっこいいですわ!私もそのアクターとやらをやってみたいですわ!憧れますわね!」
レーラはきらきらした目をしながら笑う。
この子の笑顔は何かを吹き飛ばす能力があるのだろう。
細かいことを考えるのはやめた。
俺たちは今日の勝利を噛み締めながら、研究所に戻った。




