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Virus suit actor  作者: 大根屋
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18話 「腐った暴走」

悲痛な叫び声が助けを訴えているようだった。

叫び声に混じって獣の咆哮ような不快音が街に響いていた。


「なんだ…これっ…!?」


現場は予想より悲惨な状況であった。

鉄臭い血の匂いが鼻孔を鋭くついてくる。

怪我をした住人があちらこちらに見えている。

化け物たちは女も子供も関係なく襲っている。

男たちはそんなことに構ってられないと、自分のためだけにただ一目散に逃げている。


悲惨。そんな言葉では表せないほどに。ここは荒れていた。

所長たちが急かしたのも納得が出来る。


「ひどい…。」


予想を越えた状況に美咲たちは体を震わしていている。

こんな状況でも雨宮さんは落ち着いた様子だった。


「行くぞ…!」


ホルスターから銃をとりだし的確にゾンビの頭を撃ち抜いていく。


「すげぇ…俺…どうすりゃあ…」


雷電は何をしたらいいかわからない様子だった。


「ギターを弾け」


「ギターを…?」


「いいから弾け!」


「わ、わかったぜ!」


ジャジャァァァァァァアンッッッ!!!!!


戦場に似合わない豪快な音が鳴り響いた。


俺たちの中に更に力が注ぎ込まれるような感覚がする。


「これは…?」


「ウイルスーツは思いの力を伝える。あいつが助けたい願えばサポートに、倒したいと願えば攻撃になる。」


「思いの力…。」


篠塚はその言葉をきいて何か感じたらしい。


俺は拳に力をこめてゾンビに殴りかかる。


ズドォン!!!


物凄い音が響いて、吹っ飛んでいった。


思いもよらないその力に殴った俺も驚きを隠せなかった。


「この力ならいけるな…お前らもやれ!一気に押し込むぞ。」


今のを見てみんなの士気が一気に上がったらしい。

各々が臨戦態勢に入る。


「待ってください!」


突然、篠塚が全員を制止した。


「ウイルスーツの力の源は思いの力なんでしょう?なら…この思いの力で、襲われた人だけじゃない…ゾンビになった人も…救えるんじゃないでしょうか?」


「相手は化け物だ。そんなのは通じるはずもない。」


雨宮さんは否定した。


「そんなの…やってみないとわからないでしょう?」


篠塚は一人のゾンビの前に立ち手を広げる。

ゾンビは手を振り上げ攻撃をするモーションにはいる。

それでも篠塚は臆さずに続けた。


「怖かったんですよね?みんなに恐れられて。嫌だったんですね?畏怖の目で見られて。寂しかったんですよね?…大丈夫です。あなたはもう…大丈夫ですから。」


それを聞いたゾンビは手をおろした。


「まさか…!」


さすがの雨宮さん驚いていた。


「ほら…大丈夫でしょう?だからいったと…」


グシュアッッッ!


嫌な音が鳴った。汚い手が篠塚の腹を貫いていた。


「…え…?」



篠塚は地に伏した。鮮やかな血を流しながら。


ゾンビは再び手を振り上げ、今度は躊躇なく確実に狙って。


ドシッ


重い音が響く。


「うわぁぁぁぁああああああっっっ!!!!!!」


「し、し、し、しんじぃぃいいいいいい!」


雷電は篠塚に走りに行こうとしたがゾンビに囲まれる。

いや…雷電だけではない俺も雨宮さんも他のみんなも囲まれた。


「こいつら…学習能力があるのか…?」


俺たちは目の前の敵に手一杯で一方的にやられていくのを見ているしかできなかった。


ゾンビが再び手を振り上げたとき、ゾンビが一瞬怯む。


「リス太!?」


何処から来たのか篠塚のリスがゾンビに攻撃したらしい。


「なんで来たんだ!逃げろ!」


リスはその言葉を理解しているようだった。それでもなお篠塚のために身をていして体当たりをする。


しかし…リスの攻撃はもう効いていないようだった。


無慈悲にもその浮いたからだに手が降り下ろされる。

リスは地面に叩きつけられた。

即死…だった。


「リス太…リス太!くそっくそっくそっくそくそくそくそくそくっそおおおおおお!ふざけるな!リス太を…リス太を返せぇええええ!」


篠塚は立ち上がり、目の前のゾンビを叩き潰す。かんぷなきままに、原型がとどめなくるまでに。


それはもはやどちらが化け物なのかわからなかった。

いやその時点でもう篠塚は化け物だったのかもしれない。


「うがぁぁあああ…うがぁぁぁぁぁああああああ!」


篠塚はあたりのゾンビを蹴散らす。そしてこちらを見て…


「え…?」


仲間も敵も区別がついてないようだ。


「くそっ!」


雨宮さんは篠塚に向かって発砲する。しかし全く篠津は動じる様子もなくこちらにゆっくりと向かってくる。


雨宮さんは発砲をやめない。

それを雷電がとめにかかる。


「もうやめてほしいんだぜ!!しんじが…しんじが可愛そうなんだぜ…。やめてくれ…だぜ。」


雨宮さんはそんな雷電の様子をみて、発砲をやめた。


「…退くぞ。」


「…わかったぜ…。」


俺たちは敗走した。街を救えずに敗走した。


俺たちは大切の仲間を一人…失ってしまったのだ。










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