12話 「Act ON」
それは希望の太陽か、絶望の月か。
光というのは同じのはずなのに。
少なくとも同じだったはずなのに。
君はどうしてそんなにも真っ暗なんだい?
始まったのか終わったのか
それがいつだったのかも
覚えていない。
思い出すことが…出来ないんだ。
「ウイルスーツとは…なんですか…?」
誰もが疑問に思っている。
「ウイルスーツについて説明する前に、ゾンビについてわかったことを説明しますね。」
黒田さんは自分のペースを乱さずに言った。
「人間がゾンビウイルスにかかったのは今回がはじめてでした。既に動物型ゾンビというのは存在していましたが、どれも知能が低く凶暴性はありましたが脅威ではありませんでした。」
「既にゾンビウイルスはあったってことは知ってたの?」
南原が疑問を口にする。
「ええ、動物型ゾンビを解剖したり、血液を採取したりしましたからね。しかし感染力はとても弱く、なぜゾンビが…ゾンビウイルスが発生したかは謎でした。」
「だが、今回の人型ゾンビの出現によりそれがわかったんだ。」
皆が黒田さんと所長の話に息をのんで聞いてる。雷電に関しては早く続きを聞きたそうにしている。
「ゾンビウイルスとは…動物のもともと持っている細胞が変異したものだという結論に至りました。」
細胞の変異…?訳がわからない。
「動物の細胞が何らかの外的抗力によって…つまり今回なら原発の事故による放射性物質によって人の細胞が特殊変異しちまったんだ。」
そんなことがあるのか?だからあいつらはあんな風になったのか?納得をすることが出来ない。
「つまり…正確に言えばウイルスでは無いのです。ウイルスのような働きをする異常な細胞…ということですね。しかし害であるのは変わらないので、我々はゾンビウイルスと呼んでいます。」
「人間のゾンビウイルスはどうやって手にいれたんですか?」
俺も黄桜と同じことを思っていた。あそこまで凶暴なゾンビからどうやってウイルスを手にいれることが出来たのだろうか。
「そう…!そこで使われたのがこの!ウイルスーツだっ!」
所長が待ってました!と言わんばかりのはっきりした声を放つ。
「このウイルスーツは人間の身体能力を負荷をかけずに極限まで上げることが出来るんだ!その仕掛けはスーツの内部にある!スーツのなかにあるカーボンナノチューブにゾンビウイルスを送り込み、循環させることでゾンビウイルスを超高エネルギーに変えるんだ!」
ぞ、ゾンビウイルスを…送り込む…!?
「ど、どういうことだぜ…?」
当然、他の皆の頭の中もクエスチョンマークで覆い尽くされる。
「相手がゾンビなら、こちらもゾンビウイルスを有効活用してしまおうという考えです。ゾンビウイルスには未知の力が隠されていました。その力を引き出し我々もゾンビに対抗しようとしました。」
「動物型ゾンビのウイルスだったがその力はすさまじいものだった。人型ゾンビと互角以上の戦いをすることに成功し、そこで人型ゾンビのゾンビウイルスを手にいれることが出来たんだ!」
全くもって話についていけない、が、とりあえずウイルスーツがなにかすごいものであるということはわかった。
「そこで手に入れた人型ゾンビのゾンビウイルスを調べると人間の細胞の特徴があり、欠損したDNAを発見しました。それで私たちはこのゾンビウイルスが細胞の特殊変異だということを知りました。」
「まだ試していないがウイルスーツに人間のゾンビウイルスを使うことでより強固なものになるはずだ!これでゾンビ対策はバッチリだな!」
ここで1つ疑問になったことがあった。
「その…ウイルスーツってのは誰が着用してたんすか…?」
所長はその言葉を聞くと静かに頷いて目線を左に動かし、
「雨宮くん!」
と叫んだ。
「…わかりました。」
そう言うと雨宮さんは閉じたガラケーのようなものを左手にもち、天井に向かってかざす。そして、
「『シェリフ』Act…ON!」
その言葉を言い終わった雨宮さんは眩い光に包まれていた。




