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フェイドアウト断章  作者: 石藏拓(いしくらひらき)


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六本木編 システムアナリスト

六本木編 システムアナリスト


僕の仕事は、IT技術者だった。


IT技術者というと、たいていの人はプログラマーを思い浮かべるだろう。


あるいは、システムエンジニア。


プログラマーなら、コンピューターに命令を与えるプログラムを書く。


システムエンジニアなら、システム全体の設計や開発を担当する。


では、その一つ上流には何があるのか。


僕は、システムアナリスト、あるいはシステムプランナーと呼ばれる仕事をしていた。


簡単にいえば、「何をコンピューター化するのか」を考える仕事だった。


プログラムを書く前に、そもそも会社の仕事がどう動いているのかを調べる。


人は何をしているのか。


どこで情報が生まれ、どこへ流れていくのか。


どこに無駄があり、どこをコンピューターに任せれば仕事が変わるのか。


それを考えて、システムの全体像を描いていく。


プログラマーが「どう作るか」を考える仕事だとすれば、僕たちは「何を作るべきか」を考える。


だから、コンピューターの知識だけでは足りない。


会社の業務を理解しなければならない。


経営者や管理職の話も聞かなければならない。


現場の社員が何に困っているのかも知らなければならない。


そして、それらを整理して、一つのシステムとして設計していく。


今なら、こうした仕事も珍しくないだろう。


しかし、当時はまだコンピューターそのものが、今ほど身近な存在ではなかった。


「システムアナリスト」と言っても、何をする仕事なのか分からない人のほうが多かった。


僕自身も、最初からその仕事を目指していたわけではない。


けれど、気がつけば僕は、プログラムを書く側ではなく、その前にある「考える側」にいた。


それが僕のIT人生だった。


そして、その仕事があったからこそ、僕は外資系企業へ移り、六本木に住み、赤坂ツインタワーまで歩いて通勤するという、以前の自分には想像もできなかった生活を始めることになった。


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