出版トラブル 「売れ残った本は、どうなるのか?」
【B大手出版社をめぐる出版トラブル 第5話】
「売れ残った本は、どうなるのか?」
書店に送られた本が売れなかったら?
書店から出版社へ戻される。
いわゆる「返品」である。
ここから、著者にとって思わぬ問題が発生する場合がある。
2000年代に公開されたある事例では、著者が出版から2年後に、約8万円の「倉庫使用料」を請求された。
なぜ倉庫代が発生したのか。
契約内容を確認すると、2年目から在庫冊数に応じて月額の倉庫使用料がかかる仕組みになっていた。
一見すると、月額はそれほど大きな金額には見えない。
しかし、毎月の料金である。
1年間積み重なると、かなりの金額になる。
当時の資料では、在庫700冊の場合、月額7,350円、年間では88,200円になる例が紹介されている。([共同出版・自費出版の被害をなくす会][2])
ここで考えてみたい。
本が売れない。
↓
書店から返品される。
↓
在庫として倉庫に保管される。
↓
倉庫代が発生する。
つまり、
「売れない本」が「費用」を生み出す可能性がある。
これは、出版を考える人にとって非常に重要なポイントだ。
「本を作るために、いくらかかりますか?」
だけでは足りない。
聞かなければならないのは、
「売れ残った本はどうなりますか?」
「返品された本は誰の所有物ですか?」
「何年間保管されますか?」
「倉庫代はいくらですか?」
「契約終了時にはどうなりますか?」
ということだ。
そして、もう一つ気になる言葉がある。
「売上還元タイプ」
という契約方式だ。
名前だけを見ると、
「本が売れれば、その売上が自分に戻ってくる」
という、非常に魅力的な仕組みに見える。
しかし、当時の資料では、売上還元タイプの場合、制作費や販売費用を著者が負担し、さらに2年目から倉庫使用料が発生するケースが紹介されていた。([共同出版・自費出版の被害をなくす会][2])
ここで初めて、
「出版費用を払う」
だけでは終わらないことが見えてくる。
出版した後にも、
販売
返品
在庫
倉庫
処分
という問題が続いていく。
「販売部数」という言葉の裏側を追ってみる。
※今回も「B大手出版社」の固有名詞は出さず、当時公開された資料に記載された事例として構成しています。なお、現在の出版会社の流通システムは当時とは異なる可能性があるため、過去の事例と現在の制度は分けて扱うのが安全です。




