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フェイドアウト断章  作者: 石藏拓(いしくらひらき)


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美空ひばりはジャズシンガー

美空ひばりが歌うと、どんな曲でも不思議と“ジャズの香り”がする。

その理由は、ひばりが 音を少しだけ遅らせて歌う という、ジャズ特有の歌い方を自然に身につけていたからだ。


普通の歌手は、伴奏のリズムにぴったり合わせて歌う。

でもひばりは、あえて 一拍目に乗らず、ほんの少し後ろにずらして歌う。

この“後ノリ”が、ジャズシンガーのカーメン・マクレエやエラ・フィッツジェラルドと同じ感覚を生み出している。


さらに、語尾をふわっと跳ねさせたり、息づかいをリズムの一部として使ったりする。

これもジャズの歌い方そのものだ。


だから『車屋さん』のように、日本の伝統的なリズムで作られた曲でも、

ひばりが歌うと メロディがスウィングし始めて、ジャズの匂いが立ち上がる。


結局のところ、

ひばりは“ジャズを歌うつもりがなくてもジャズになってしまう”タイプの天才だった。

それが、彼女の歌が時代を超えて魅力を放ち続ける理由でもある。

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