↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界召喚された俺は、パーティから追放されたい  作者: まるた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/13

第4話 レイドバトル

 D級ダンジョン〈永久の庭〉。町から東へ数km離れた、初心者御用達のダンジョンだ。冒険者たちは、ギルド裏からこの〈永久の庭〉の前に移動してきていた。


 ミナトは、ここ一帯に集まっている冒険者たちを一瞥する。


「つっても……」


 人数が多いな。優に30人は超えてるんじゃないか? 今回のレイドボスはC級という情報だが……。

 ミナトは周囲で談笑していた冒険者に近付いていく。


「なあ。ここにいる奴らはみんなC級以上なのか?」


 ボスがC級の場合は、冒険者もC級以上が参加するのが常識だ。かくいう俺もD級だが……まあ、どうにかなる。

 冒険者の二人は、ミナトの声に反応して振り返った。


「ああ……いや、ほとんどD級だ」

「何だって?」


 おいおい、大丈夫なのか?


「剣姫セナ。知ってるだろ? この町唯一のAランカー。そいつが今回参加するんだよ」

「は、はあ」

「ボスはそいつに任せつつ、レイドバトル参加報酬が目当て。おこぼれだけもらうって魂胆さ」


 ははあ、なるほど。悪知恵の働く奴らだな。にしても、剣姫セナか。俺の今回の狙いに邪魔じゃなければ良いんだが。

 ミナトが思案していると、冒険者の一人が小声で何かを話し始めた。


「おい。こいつ、癖毛の黒髪に紫の目だ。狂犬ミナトじゃねえか?」

「うげ、マジかよ! 俺話しちまったよ!!」


 2人はそう言うと、跳ねるようにその場を後にする。


「くそ……」


 結構広まってるな……。

 いや、別に良いさ。今回のレイドバトル。ここで活躍して、良い評判を取り戻してやる。俺より活躍しそうと言ったら剣姫セナくらいだろう。大したことじゃない。

 ミナトが自分に言い聞かせていると、遠くにいた女性冒険者がミナトを見つけ、目を見開いた。


「あ、あなた!」


 女性冒険者がこちらへ駆けてくるのに気付いたミナトは、目を凝らす。


「ん?」


 誰だ?


「やっぱり! 前にダンジョンで助けてくれたよね! ほら、2体のオークから!」


 2体のオーク……? ミナトは改めてその女性冒険者をまじまじと見た。水色の髪が肩辺りで切り揃えられ、目は微かに潤んでいる。格好からしてD級の冒険者だろうが、その大きな盾にはどこか見覚えがあった。

 そう、この不釣り合いに大きな盾を構えていたのは……。


「お前、あの時のアホタンクか」

「ひ、ひどい!」


 彼女は絵に描いたように頬を膨らませていた。


「いや、だってタンクがソロでダンジョンって……」


 流石にアホとした言いようがない。


「だ、だからあの後パーティを組んだの! ちゃんと!」

「当たり前だ」

「もう、ひどいなあ」


 彼女は、次は肩を落とした。何とも、動きが単調である。

 しかしすぐに背筋を伸ばすと、弾けるような笑顔をこちらへ向けてきた。


「ま、でもあなたのおかげでパーティを組めたから、ありがと!」

「あ、ああ」


 ミナトは、そのまっすぐな感謝に狼狽える。異世界に来てこの方、感謝を伝えられたことなどあっただろうか。


「マリー!」

「へ?」


 まりー?


「私の名前! マリーだから、覚えてね!」


 マリーはそう言うと、手を差し出してきた。


「ああ。俺の名前は……」

「ミナトくん、よろしく!」


 ……ん?

 ミナトが差し出した手をマリーが握ると、彼女は満足げな表情を浮かべた。


「じゃ、またね! レイドバトル頑張ろうね!」


 そう言って、マリーは向こうへ駆けていく。その後ろ姿は、パーティ仲間であろう数人に吸収され、そこからは周囲の冒険者の陰に埋もれていった。


「俺、名前言ったことあったっけか」


 その時、ダンジョンの入り口の方から声が反響してきた。


「お集まりの皆さん、準備はよろしいでしょうか!?」


 ギルド職員だろう。その声は、拡声効果のある魔石のおかげでよく通っていた。


「今回のレイドボスはC級です! 道中のモンスターがD級とは言え、お気を付けて行ってらっしゃいませ!」


 先程までざわざわしていた冒険者たちも、一様に推し黙る。緊張感が辺りを支配していた。


「それでは……!」


 数多の人間が地面を掴み、砂利が擦れる。そんな音が聞こえた。


「C級レイドボス緊急討伐クエスト、〝キングオーク〟、開始!!」

「おおおおおおお!!!」


 ギルド職員の声を合図に冒険者たちの咆哮が響き渡り、その声と行進で地面が激しく揺れ始めていた。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

次回からは火・金20:00投稿となります。そのため、第5話は金曜日20:00公開です。これからもお楽しみいただければ幸いです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。