夢
そんなに簡単に出せないもの――それが「勇気」です。
好きな人に告白する勇気。
悪いことを見たら止める勇気。
目標に向かって一歩を踏み出す勇気。
いろんな「勇気」がありますが、そのどれも、簡単にはいきません。
きっと、簡単にできる人もいるのでしょう。
でも私には、やっぱり無理でした。
行き過ぎれば「無謀」と言われてしまう。
そんな扱いの難しいものが、この「勇気」です。
どうすれば、この勇気を出せるのでしょうか。
私は長いあいだ、なかなか勇気が出せずに引っ込み思案でした。
そんな私が勇気を出せるようになったきっかけは――夢、でした。
ストレスが溜まりに溜まって、溢れ出しそうになっていた頃、
私は毎晩、同じ夢を見ていました。
夢の中でも私は逃げ出してばかり。
そんなある夜、ふと思ったのです。
「どうせ夢なら……」
そうです。夢の中では誰に憚ることもありません。
しかも都合よく、毎晩同じ夢しか見ない。
それなら、と少しずつ思ったことを言う練習を始めました。
――まぁ、地獄でしたけどね。
朝起きれば寝汗びっしょり。
夢の中で怒られて「すいません!」と飛び起きたことだってあります。
それでも、私を試すかのように同じ夢が続きました。
どのくらい経ったのかはわかりませんが、
ある日ついに、思ったことを口にできました。
それは夢の中ではなく、現実でした。
一瞬「え?」と思いました。
でもその日から、あの同じ夢は見なくなりました。
それだけではありません。
今では、ある程度なら夢を“リクエスト”できるようになったのです。
よっぽど疲れている時を除けば、
「今日はこんな夢を……」と思って眠れば、希望の夢が見られるようになりました。
ただし、ひとつ問題があります。
いくら「こんな人生を……」と思っても、
その夢だけは、なかなか叶わないんですよね。




