前世
前世が気になったことはあるでしょうか。
私は、たまにふと考えることがあります。
そうして思い浮かぶのは――私は「タンポポ」だったのではないか、ということ。
なぜなら、踏みにじられるようなことが多々あるからです。
けれども時折、道端で愛でてくれる人がいる。
その瞬間があるからこそ、また踏まれても頑張ろうと思えてしまう。
そんなところが、どうにも自分に似ている気がするのです。
もっとも、「人」だったのか「タンポポ」だったのかは置いておきましょう。
それでも、なぜ人は前世を考えてしまうのか。
科学者の人から見れば「くだらない」と一蹴されるかもしれません。
けれども、もしこれを「遺伝子に組み込まれた記憶情報」と定義してしまえば、
案外まじめに研究が始まるのではないでしょうか。
物語の世界では「前世の記憶が…」という設定もよく見かけます。
言い換えれば、それは「異世界の誰かに憑依した」ということ。
当人にしてみれば、悪魔に取り憑かれるのも知らない少年に憑依するのも、
実はさほど変わらない体験なのかもしれません。
それでも確かに「前世」を感じる瞬間があります。
それは――「一目惚れ」です。
相手のことなど何も知らないのに、ひと目で心を奪われてしまう。
あれは、きっと前世でどうしようもなく好きだった相手に違いありません。
もし相手も同じように一目惚れしてくれるなら、
遠い昔の恋人同士が再会したのだと思えばよいのです。
けれども、そうでない時。
自分だけが「一目惚れ」してしまった時は心配ご無用。
――遠い昔も、そして今も、あなたの恋は片思いで終わるだけですから。




