第59章
花蓮は白地にピンクの小さな花模様のついたキャミソールを着ていた。
くるりと一回転すると、「久しぶりにおニューを買ったの」と楽しそうに言った。
「はい、これ、お弁当。お弁当も久しぶりに作ったの。ねえ、あまり冷めないうちに先に食べましょ」
弁当は、いつものシュウマイの他に、春巻きや唐揚げや青椒肉絲、海老のチリソースが入った豪華なものだった。
「凄いなあ、これ、全部自分で作ったのかい?」
「うん、もちろん。今日はオール中華にしてみたの」
「ずいぶん腕を上げたなあ。大したもんだよ」
「八月から週に二回お料理教室に通っていたのね。途中、美鈴さんのことがあった時はお休みしたけど……。川村さんに食べて貰おうと思って通っていたのに、色々あって、ずうっーとお弁当作れなくて、ごめんなさい」
シュウマイを食べてみると、意外なほどに上手い。
「おいし?」
「うん、うまい。プロ並だな。へたな中華料理店よりずっとおいしいよ」
正夫は次々と箸をつけていったが、どれもかなりの出来映えである。
彼女はあまり食べずに目を細めて、正夫の様子を眺めていた。
正夫は食べながら、何気ない口調で尋ねた。
「見合いをしたんだってね」
花蓮は箸を置き、両足を伸ばして、足先を見るかのように、視線を下に落として言った。
「黙っていて、ごめんなさい」
「そんなの別に構わないよ。僕は君の恋人でもパパでもないんだから、僕に言う必要なんてないよ」
「そんな意地悪な言い方はしないで」
「ごめん」
正夫も箸を置き、視線を下に向けた。白く、ほっそりとした足が伸びていて、その小さな指先には、着ているキャミソールの花の色と同じピンクのぺディキュアが可愛らしく光っていた。




