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第58章
再び花蓮から毎日メールが来るようになった。
たわいない内容ばかりだったが、それが正夫には嬉しかった。生きる張り合いと活力を与えてくれた。
しかし、ある日、衝撃的なメールが届いた。
「昨日、お見合いをしました。内緒にしていて、ごめんなさい」
正夫も花蓮との関係が永遠に続くものではないと分かっていたが、少なくともここ当分は今の状態のままであろうと勝手に思い込んでいた。
彼女が見合いをするなどとは思いも寄らなかった。それはあまりに唐突な知らせで、彼を混乱させた。
視界が狭まるような感覚になった。
人間あまりにショックを受けると、こういうふうになるのかと思った。
花蓮を失うことは耐え難いことのように思われた。
しかし、時間が経ち、平静さを取り戻すにつれて、もし花蓮が結婚するようなことになれば、喜んで祝ってあげようと思うようになってきた。
「お嫁さんになること」は彼女の夢であるし、いつまでもあの店で働き続けることは出来ない。彼女の幸せを祝福することが、父親ほど歳の離れた自分には相応しい行動のように思われた。




