第15章
新幹線に乗り、ビールを一缶飲むと、いつのまにか眠ってしまっていた。目を覚ましたのは名古屋駅で隣席の乗客が降りるために立ち上がった時だった。
眠ったために少し疲れが取れていたが、気持ちは沈んだままだった。スマホを取り出し、ニュースを読んでみたが、気分は晴れない。
隣がいないので、後部座席の人から見えないように注意しながら、店のホームページにアクセスした。
店員が言っていたように、スケジュールという項目があった。
そこには今日から一週間の日付があり、それをクリックすると、その日に出勤する女の子の写真があり、下に名前と身体のサイズと出勤時間帯が書いてあった。
ホームに戻ると、システムやプレイ一覧など見出しのついた項目がいくつか並んでいる。
キャスト一覧というところをクリックすると、働いている女の子の写真が並んでいた。何人か顔を出している子もいたが、ほとんどの女の子の顔にはぼかしが入っていた。
花蓮の写真をクリックすると、画面が大きくなった。女子校の夏服をイメージしているのだろう、白いブラウスに赤いネクタイ、紺色のスカートと紺色のハイソックス、黒のローファーを履いて、足を投げ出して床に座っているものだった。
その下には小さな写真が5枚並んでいて、さらに下にはプロフィールの欄があり、血液型、星座、出身地、趣味、将来の夢などが書いてあった。
下の写真もクリックすると画像が拡大した。
1番左の写真は同じ制服姿で体育座りしているもので、2番目は向こう向きに四つん這いになっているものだった。3番目はブラウスの前をはだけてブラジャーを見せている写真だったが、ブラジャーは鮮やかな赤色で、清楚な白いブラウスと情熱的な真っ赤なブラジャーのアンバランスが煽情的でどきりとさせられる。4枚目はプラウスを脱ぎ、スカートを脱ごうとしている姿でパンティもブラジャーと同じ真紅のものだった。最後は下着姿で両腕で胸をよせている写真だった。
向こうを向いている1枚を除いて、どれも顔にぼかしが入っていた。
最初に花蓮に会いに行く前にも写真を見た筈だが、あまり印象に残らなかったせいか、それ以来見たことはなかった。だが、実際に店に行き、彼女とひと時を過ごした今見ると、印象はまったく違っていた。
写真を見ていると、ぼかしの向こう側から彼女の顔が浮かんできた。大きな目でじっと自分を見ている顔、猫のように目を細めて微笑んでいる顔、哀しげな眼差しをしている儚げな顔……。
それらの姿は沈んだ心を浮き立たせてくれた。画像を変えては、頬を緩め、にやけた顔で食い入るように見つめた。
しばらくした時、後ろで物音がし、正夫は我にかえり、慌てて画面を閉じ、目を閉じて眠っているふりをした。
翌日も翌々日もその次の日も彼女の写真を見るためにホームページを訪れた。
しかし、思いも寄らなかったことに、日が経つにつれ、次第に彼女の顔が浮かんでこなくなった。目を瞑って、思い出そうとも努めたが、彼女の顔はぼかしが入っているように、ぼうっとしてはっきりとしない。
花蓮の姿は記憶から急に消えようとしていた。
それは正夫を狼狽えさせ、焦らせ、彼女に会いたいという想いを一層募らせることになった。




