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【番外編】恋人になった颯介と凜。恥ずかしいのは凜だけ!?

颯介と凜が【親友】をやめたあとの後日談です。

急に『女の子』になってしまった凜。そんな凜に対してぐいぐい来る、颯介。

全2話のショートストーリーですが引き続き、甘酸っぱい青春を味わってください!


7時30分

凜は嬉しそう颯介をまっている。

「おはよ」少し目を逸らして赤くなる。


生まれてから今までずっと一緒だったのに。

やはり意識してしまう...のは凜だけ。


颯介はそんな凜の声が聞こえると以前よりも軽い足取りで玄関を出る。

「おはよ。待たせたな。行こうぜ」颯介は凜を真っすぐ見た。


以前の凜なら「あたしを待たせるなんていい度胸だな」など軽口をたたいていたのに、今は赤くなり言葉が上手く出てこない。


颯介は「なぁ凜。お前、意識し過ぎじゃね?友達やめても俺は俺で、中身はなんも変わってないぜ?」

隣で俯き歩く凜を少し呆れて見ている。


凜は颯介に視線を移すと「そりゃそうだけど...。あたしが颯介のこと【男】として好きって分かっちゃったんだし。やっぱ恥ずかしいじゃん」


颯介はそんな凜の手をグイっと掴んで自分に引き寄せた。

「もっと恋人らしくしようぜ?」


凜はびっくりして、思わず「キャッ」と正真正銘の【女の子】の声を出してしまった。

「颯介は恥ずかしくないの?颯介だってあたしのこと【女の子】として、好きなことあたしに分かっちゃったんだよ?」


「分かっちゃったって言ったって、俺から凜のこと【女の子】として好きって言ったんだし、特に恥ずかしいとかないよなぁ。事実だし」


凜は軽くため息を付いたが、颯介に引き寄せられた距離、肩が触れ合うか触れ合わないかの近さに心地よさを感じている。


同級生が颯介と凜を見ている。

「あいつら、いつも一緒だったから、一緒に登校してるのも普通だけど、なんか雰囲気変わったよな」

「ああ、あいつら付き合い始めたらしいぜ?」

「マジか・・・。お互いに恋人いたはずだろ?」

「きれいさっぱり別れたってよ。そういうところは好感は持てるよな」


颯介と距離が近いことにハッとしてしまった凜は「ね、ねぇ。みんな見てるよ?さすがに恥ずかしいよ」

そう言って、親友だったときの物理的な距離に離れた」


10時30分

二時限休み

凜は颯介のクラスのドアをそっと開けて、「ちょっと、ちょっと」と手招きをした。

颯介はそれに気付くと「どうした?」と小走りにやって来た。


「あのさ・・・今日の昼、なに食べるの?」


颯介は不思議そうに「そりゃ、凜も知ってのとおり、いつもの購買の焼きそばパンだけど。いまさら何を?」


凜はすこしモジモジしながら「今日はさ・・・一緒に食べたい」顔は当たり前のように赤い。

「で、焼きそばパンは買わなくていいよ...。えと...あたしが用意したから」凜の顔は赤いを通りこして沸騰したやかんのようになっていた。


颯介はびっくりしたように聞き返した「【あたしが用意】したぁ!?」

凜は「ばか、声が大きい」と颯介の足を蹴った。

「いてて、楽しみにしてる」大げさに足をさすった。


12時15分

昼休み

凜が颯介の教室に来た。

「いいとこあるの」そう言うと颯介の前を少しだけ得意げに歩き出した。

着いたのは屋上。

重い扉を開けると、初夏の香りをのせた優しい風が頬をなでる。

眼下には田畑の濃い緑と遠くには住宅街の赤や青の屋根が光っている。


「うわーめっちゃ景色いいな!」颯介はグッと伸びをして風を感じている。


「あそこが特等席」凜は白いペンキが落ちかけた給水塔の下を指さした。


給水塔のコンクリの段差にふたり腰掛ける。

「こ...これ...」凜はリュックから、ギンガムチェックのナプキンで綺麗に包んだ弁当を取り出した。

「作ったんだ・・・初めてだけど。あたしが誰かにお弁当作るなんて初めてなんだからね。亮にもそんなことしてないんだから。だからありがたく食べてよ」凜はいくらかいつも通りの調子を取り戻し笑った。


颯介が弁当を開けると中には色とりどりの・・・おかずが・・・並んでいなかった。

米の上に海苔を敷くのは旨そうだが、圧倒的に茶色い。

本来は黄色い差し色に映えるはずだった卵焼きは焼け焦げ、圧倒的に茶色い。

普通ならプチトマトを入れて彩豊かにするものだが、そんな発想は元々なさそうだ。


颯介は思わず「おじさんの弁当みたいだな」と心の声が漏れた。


凜は顔を赤くして「なら食べるな!」と弁当を取り上げた。


「ごめん、ごめん。凜、ありがとな」颯介は凜の髪を優しくなでた。

凜は「ちょ・・・ずるい」弁当をふたたび颯介の前に広げた。


「いただきます」颯介は海苔がのった米を勢いよく食べた。

それを凜は合格発表の掲示板をみるような目でみつめた。


「旨い!見た目はアレだけど旨いよ」颯介は凜に少し興奮したように言った。


「食べながらしゃべらない!」凜はお母さんのように注意した。

「あと、『見た目は』はってのは余計」


「悪りい、悪りい」と言いながら颯介は次々と口へ運んだ。


「旨かった!ありがとう」と颯介はまた凜の頭をなでようとすると

「いちいちなでるな。わたしは犬じゃない」と冗談を言って笑ってみせた。


颯介は急に立ち上がり「凜!デートしようぜ!?だって恋人ならデートするの当たり前だろ?」


「ま・・・ぁ。しょっちゅう一緒に遊びに行っていたけど、改めてデートっていいかも」


「よし、今度の日曜日・・・水族館!」颯介ははしゃいで凜の頭をわしゃわしゃした。


「ったく、髪の毛乱れたじゃん。だけど、水族館はあたしも好き。楽しみ」


颯介と凜の初デートは水族館に決まった。

水族館といえば定番のデートコースだ。

と、いうことは、まわりはカップルだらけで...颯介はともかく、凜はその雰囲気に耐えられるのだろうか・・・。










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