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『みんな作れるのに誰も作らないので、元ミニチュアコレクターが本気を出したら国ができました』  作者: eccen.
第5章 城と国づくり

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第49話 世界で一番大切な設計図

王城の庭園が完成した翌日。


国中がお祭りのような賑わいに包まれていた。


市場には屋台が並び、子どもたちは公園を駆け回る。


音楽隊の演奏が広場に響き、人々の笑顔があふれていた。


そんな中、リリアだけは王城の一室にこもっていた。


机いっぱいに広げられた設計図。


定規。


鉛筆。


色鉛筆。


「うーん……。」


真剣な表情で図面を描き続けている。


コンコン。


扉がノックされた。


「リリア。」


アルトだった。


「入っていい?」


「どうぞ!」


部屋に入ったアルトは思わず苦笑した。


床にも机にも設計図が山積みになっている。


「……また増えたね。」


「昨日思いついちゃったの。」


リリアは目を輝かせる。


「王城の図書室をもっと広くしたいの。」


「それから温室も!」


「あと展望台!」


「それに子ども図書館も作りたい!」


アルトは肩をすくめた。


「完成したばかりなのに?」


「完成したからだよ。」


リリアは笑う。


「暮らしって、少しずつ良くしていくものだから。」


その言葉に、アルトは改めて彼女らしいと思った。


「今日は国王陛下が待っているよ。」


「あっ!」


リリアは時計を見る。


「忘れてた!」


慌てて設計図を片付けようとして、床いっぱいに紙を落としてしまう。


「あぁっ!」


アルトも一緒に拾い始めた。


一枚一枚には、新しい橋や劇場、植物園、港の改修計画などが描かれている。


「全部未来の設計図?」


「うん!」


「まだまだ作りたいものがいっぱいあるんだ。」


アルトは一枚の図面を手に取る。


そこには小さな家が描かれていた。


「これは?」


リリアは少し照れたように笑う。


「普通のおうち。」


「王城じゃなくて?」


「うん。」


「王様や王妃になっても。」


「たまには普通のお家でお茶を飲みたいなって。」


アルトは優しく微笑んだ。


「その夢も叶えよう。」


二人は王城の大広間へ向かった。


そこには国王をはじめ、多くの貴族や住民たちが集まっていた。


国王が立ち上がる。


「皆の者。」


「この新しい国は、リリアとアルト、そして住民全員の力によって築かれた。」


大きな拍手が響く。


「今日、この国は正式に王国の自治領として認められる。」


再び大きな歓声が上がる。


リリアは思わずアルトを見る。


アルトも嬉しそうに頷いていた。


「そして。」


国王は穏やかに笑う。


「この国を治める者を、ここで任命する。」


静まり返る広間。


「アルト・ルクス・エルディア。」


「はい。」


「そなたを、この国の初代領主に任命する。」


アルトは深く頭を下げた。


「謹んでお受けいたします。」


続いて国王はリリアを見る。


「リリア。」


「はい!」


「そなたには、この国の開発責任者、そして王国最高建築顧問の称号を授ける。」


住民たちから歓声が上がる。


「リリア様、おめでとう!」


「やったー!」


しかし、リリアは少し困った顔をした。


「建築顧問って……。」


「図面を描いていてもいいんですか?」


会場が静まり返る。


国王は一瞬きょとんとしたあと、大きく笑った。


「もちろんじゃ!」


「好きなだけ描くがよい!」


「よかった!」


リリアは心から安心したように笑う。


その無邪気な様子に、会場中が笑いに包まれた。


式典が終わり、夕焼けに染まる王城のバルコニー。


アルトとリリアは並んで街を見下ろしていた。


市場には灯りがともり、人々が行き交う。


学校からは子どもたちの笑い声。


公園では家族が散歩を楽しんでいる。


「きれいだね。」


リリアが小さくつぶやく。


「ああ。」


アルトも頷く。


「君が思い描いた景色、そのままだ。」


リリアは首を横に振る。


「違うよ。」


「私一人じゃ作れなかった。」


「みんながいたから。」


「アルトがいたから。」


アルトは静かにリリアを見つめた。


「……ありがとう。」


その表情は、どこか決意を秘めていた。


明日は、この国の完成を祝う建国祭。


そしてアルトは、一つの想いを胸に秘めていた。


それは、ずっと伝えたかった気持ち。


この国で一番大切な"未来の設計図"を、リリアと一緒に描きたいという願いだった。


建国祭の鐘が、静かに鳴り始める。


いよいよ、物語は最後の一話を迎える――。


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