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『みんな作れるのに誰も作らないので、元ミニチュアコレクターが本気を出したら国ができました』  作者: eccen.
第5章 城と国づくり

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第50話 世界で一番幸せな国

建国祭当日。


朝早くから、国中がお祭り一色だった。


中央市場には色鮮やかな旗が飾られ、パン屋からは焼きたての香りが漂う。


屋台では温かいスープや焼き菓子が並び、広場では音楽隊が演奏を始めていた。


子どもたちは公園を走り回り、大人たちは笑顔で挨拶を交わす。


王都だけでなく、近隣の領地からも多くの人が訪れ、町はかつてない賑わいを見せていた。


「すごい人だね。」


王城のバルコニーから町を見下ろしたリリアは、嬉しそうに目を細めた。


「最初は森の中で、一人だったのにな。」


アルトが隣で微笑む。


リリアは懐かしそうに笑った。


「あの頃は、木を一本切るだけでも大変だったよ。」


「仮小屋を作って。」


「家具を作って。」


「庭を作って。」


「井戸を掘って。」


「動物小屋を建てて。」


「村のみんなが遊びに来てくれて。」


「街ができて。」


「スパができて。」


「そして今は……。」


目の前には、美しい王城と城下町が広がっている。


石畳の道。


色とりどりの花壇。


噴水のある広場。


子どもたちの笑い声。


幸せそうに歩く人々。


リリアは静かに胸へ手を当てた。


「夢みたい。」


アルトは優しく答えた。


「君が叶えた夢だよ。」


その時、城下町から大きな歓声が聞こえた。


「リリア様!」


「アルト様!」


「早くー!」


二人は顔を見合わせて笑い、広場へ向かった。


広場では国王が演説を始めていた。


「皆の者。」


「今日、この国は正式に『クラフト王国』として新たな歴史を歩み始める。」


大きな拍手が響く。


「この国は、強さを競う国ではない。」


「豪華さを誇る国でもない。」


「人が幸せに暮らせる国である。」


住民たちは誇らしそうに胸を張った。


「その礎を築いた二人へ、心から感謝を。」


国王が手を差し伸べる。


リリアとアルトが前へ進み出た。


割れんばかりの拍手。


「リリア様!」


「アルト様!」


「おめでとう!」


その声に、リリアは少し照れくさそうに笑った。


式典が終わると、夕暮れまでお祭りは続いた。


子どもたちは滑り台で遊び、大人たちは市場で買い物を楽しむ。


夜になると、庭園には無数のランタンが灯された。


花々が幻想的に照らされる。


アルトは静かにリリアへ声をかけた。


「少し歩こう。」


「うん。」


二人は庭園の奥へ向かう。


そこには、建国記念として植えた大きなシンボルツリーが静かに立っていた。


風が葉を揺らし、花びらが舞う。


アルトは深呼吸をした。


「リリア。」


「なあに?」


「君と出会ってから、毎日が楽しかった。」


「家を建てて。」


「街を作って。」


「スパを作って。」


「国まで作った。」


リリアは照れくさそうに笑う。


「いっぱい作ったね。」


「ああ。」


アルトは一歩前へ出た。


「でも。」


「まだ一つだけ。」


「君と一緒に作りたいものがある。」


リリアは首をかしげる。


「まだ何かあるの?」


アルトは真っすぐ彼女を見つめた。


「ある。」


「僕たちの未来だ。」


そう言って、静かに片膝をつく。


周りにいた住民たちも、その様子に気付き、静かに見守り始めた。


アルトは小さな木箱を開く。


中には、職人たちと一緒に作った指輪が入っていた。


中央には、リリアの好きな花を模した小さな宝石が輝いている。


「リリア。」


「僕と結婚してください。」


辺りが静まり返る。


リリアは目を丸くした。


そして、指輪ではなくアルトの顔を見つめる。


数秒後――


「うーん……。」


考え込む。


アルトは少しだけ青ざめた。


「もしかして……だめ?」


リリアは慌てて首を振る。


「違う違う!」


「嫌じゃないの!」


「ただ……。」


王城の方を指差す。


「まだ内装が終わってないんだけど。」


一瞬の静寂。


そして次の瞬間。


「ははははは!」


「やっぱりリリア様だ!」


「最後までクラフトか!」


広場中が大笑いに包まれた。


アルトも思わず吹き出した。


「そこなんだね。」


リリアは照れ笑いしながら答える。


「だって、気になっちゃうんだもん。」


「でも。」


リリアはアルトから指輪を受け取り、優しく微笑んだ。


「内装が完成したら。」


「その時は、よろしくお願いします。」


アルトは嬉しそうに立ち上がる。


「もちろん。」


二人は固く手を握り合った。


夜空には大きな花火が打ち上がる。


色鮮やかな光が王城を照らし、町中から歓声が上がった。


一年後――。


「リリア様!」


「新しい図書館の設計図ができました!」


「見せて!」


王妃となったリリアは、相変わらず作業着姿で図面を広げていた。


アルトは苦笑しながらその様子を見守る。


「王妃になっても変わらないね。」


「もちろん!」


リリアは笑顔でハンマーを掲げた。


「まだまだ、この国をもっと素敵にしたいから!」


その笑顔は、森で小さな家を建てていた頃と何も変わらなかった。


家づくりから始まった小さな夢は、多くの人の笑顔をつなぎ、やがて一つの国になった。


そして今日もまた、理想の暮らしを目指して、新しい一歩が刻まれていく。

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!

本作はこれにて完結(ひと区切り)となります。


最近はモノ作りスローライフが大好きで特に私もミニチュア集めるくらい好きなので自分のようにすらすら執筆していました。


連載中は、皆様からのブックマークやいいね、温かいご感想が本当に励みになり、無事に最後まで書き切ることができました。心より感謝申し上げます。


【最後にお願いです】

もし「少しでも面白かった」「最後まで読んでよかった」「完結お疲れ様!」と思っていただけましたら、

ページ下部にある『☆☆☆☆☆』から評価をつけていただけますと、作者の今後の大きな励みになります。


次回作につきましても(早速明日から連載開始予定)ですので、また別の物語でお会いできれば嬉しいです。

しばらくはスローライフ執筆を楽しむ予定です。

重ねて、最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました!

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