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『みんな作れるのに誰も作らないので、元ミニチュアコレクターが本気を出したら国ができました』  作者: eccen.
第5章 城と国づくり

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第48話 幸せの花咲く城

翌朝。


王城の前に広がる大きな広場へ、住民たちが集まっていた。


鍬を持つ人。


じょうろを持つ人。


花の苗を抱えた子どもたち。


「今日は、お城の前に庭園を作ります!」


リリアがそう宣言すると、子どもたちが歓声を上げた。


「お花だー!」


フィオナは嬉しそうに花の苗を並べていく。


赤、黄色、青、紫、白。


色とりどりの花が、まるで絵の具のように並んでいた。


「こんなにたくさん!」


ミアが驚く。


「全部違う種類なんですね。」


「うん。」


フィオナは優しく微笑んだ。


「春だけじゃなく、夏も秋も冬も、何かしら咲くように選びました。」


「一年中楽しめる庭園ですね。」


「そうなんです。」


リリアは庭園全体の設計図を広げる。


「お城へ続く道は真っすぐじゃなくて、少しゆるやかに曲げます。」


グレッグが首をかしげる。


「なんでだ?」


「曲がっていた方が景色をゆっくり楽しめるから。」


「なるほど。」


「あと。」


リリアは設計図に丸を書き加える。


「ここにベンチ。」


「ここに噴水。」


「ここは木陰。」


「お花を見るだけじゃなくて、座ってのんびりできる庭園にしたいの。」


アルトは静かに笑う。


「君は本当に『立ち止まる場所』を作るのが好きだね。」


「だって。」


リリアは照れくさそうに笑う。


「急ぐ毎日だからこそ、少しくらいゆっくりできる場所が必要でしょ?」


建設が始まった。


花壇を作る人。


土を耕す人。


苗を植える子どもたち。


小さな女の子が、真剣な顔で花を植えている。


リリアはしゃがみ込んだ。


「何のお花を植えたの?」


「黄色のお花!」


「どうして黄色?」


女の子は満面の笑みで答えた。


「見てると元気になるから!」


リリアは思わず笑顔になる。


「きっと素敵に咲くね。」


午前中いっぱいかけて、庭園は少しずつ形になっていく。


花壇だけではない。


木陰には木製のベンチ。


子どもたちが寝転べる芝生。


季節ごとの花が咲く小道。


小鳥が水を飲める小さな水場。


細かな工夫があちこちに散りばめられていた。


「リリアさん。」


アルトが庭園を見渡しながら言う。


「王城より庭園の方が広くない?」


リリアは悪びれる様子もなく頷いた。


「うん!」


「だって、お城の中に入る人は限られるけど。」


「庭園なら誰でも楽しめるもん。」


グレッグは大笑いした。


「王様より住民優先か!」


「もちろん!」


「みんなの国だもん!」


住民たちから大きな拍手が起こる。


午後。


最後の一本となる大きなシンボルツリーが運ばれてきた。


高さは十メートルほど。


立派な枝を広げた若木だった。


「この木は。」


リリアはそっと幹に手を添える。


「百年後も、この国を見守ってくれる木です。」


住民全員で力を合わせて植えていく。


子どもたちが土をかける。


大人たちが水を運ぶ。


最後にリリアがクラフトハンマーを掲げた。


「クラフト。」


優しい光が木を包む。


枝葉がゆっくりと広がり、美しい緑が丘を彩る。


風が吹く。


花びらが舞い上がる。


まるで国の完成を祝福しているようだった。


クラフトガイドが輝き始める。


---


【施設完成】


王城庭園


★★★★★


【効果】


・国家幸福度最大


・観光評価最大


・住民ストレス減少


・四季イベント開催可能


---


さらに画面が光る。


【国家評価】


★★★★★


【幸福度】


100%


【特別称号獲得】


『理想郷の創造者』


リリアは思わず目を丸くした。


「幸福度……100?」


住民たちも歓声を上げる。


「やったー!」


「本当に100だ!」


アルトは静かに笑った。


「君の夢が数字になったね。」


その時、国王がゆっくりと前へ歩み出た。


庭園を見渡し、穏やかな表情で頷く。


「見事だ。」


「この国には立派な城がある。」


「豊かな市場もある。」


「学校も、公園もある。」


「だが、それ以上に素晴らしいものがある。」


国王は住民たちへ視線を向けた。


笑い合う子どもたち。


楽しそうに働く大人たち。


幸せそうに散歩する老夫婦。


「人々の笑顔だ。」


その言葉に、誰もが自然と微笑んだ。


国王はアルトを見つめる。


「アルト。」


「はい。」


「最後の仕事が残っているぞ。」


アルトは小さく息をのんだ。


リリアは不思議そうに首をかしげる。


「最後の仕事?」


国王は優しく微笑む。


「この国には、まだ王と王妃がおらん。」


その言葉に、住民たちは一斉にアルトとリリアを見つめた。


アルトの頬が少し赤くなる。


リリアはまだ、その言葉の意味を理解していなかった。

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