第47話 みんなで築く王城
翌朝。
まだ朝霧が残る丘の上に、住民たちが次々と集まってきた。
鍛冶屋。
パン屋。
花屋。
農家。
仕立て屋。
学校の先生。
そして元気いっぱいの子どもたち。
気づけば五百人を超える人々が丘を埋め尽くしていた。
リリアはその光景を見て驚く。
「みんな……。」
グレッグが笑う。
「城を建てるんだろ?」
「俺たちも手伝うさ。」
「でも、お仕事は?」
パン屋のミアが笑顔で答えた。
「今日は臨時休業です!」
「町のみんなで、お城を建てる日ですから。」
住民たちから大きな歓声が上がる。
アルトは静かにその様子を見つめていた。
王都で見てきた城の建設は違った。
命令で働く職人たち。
義務として集められた人々。
しかし、ここにいる人たちは違う。
誰一人として嫌そうな顔をしていない。
自分たちの国だから。
自分たちの城だから。
その想いだけで集まっていた。
リリアは深く頭を下げた。
「ありがとうございます。」
「でも、一つだけ約束してください。」
住民たちは静かに耳を傾ける。
「無理はしないこと。」
「疲れたら休むこと。」
「困ったら助け合うこと。」
「そして。」
リリアは笑顔になる。
「完成したら、みんなでお祝いしましょう!」
「おおーーっ!」
丘いっぱいに歓声が響いた。
リリアは設計図を広げる。
そこには、美しい白い城が描かれていた。
高い塔。
大きな時計台。
青い屋根。
広い中庭。
色とりどりの花壇。
しかし、その図面を見たグレッグが首をかしげる。
「城にしては小さくないか?」
「うん。」
リリアはうなずいた。
「豪華すぎる城はいらない。」
「え?」
「この国の主役は、お城じゃない。」
「暮らす人たち。」
みんなが静かになった。
「だから、お城はみんなを見守る場所。」
「威張るためじゃなく。」
「困った人が安心して相談できる場所にしたい。」
アルトは優しく笑った。
「まるで君らしい城だ。」
建設が始まる。
「クラフト!」
リリアがハンマーを振るう。
眩しい光が丘全体を包み込んだ。
大地から白い石の土台が現れる。
太い柱が立ち上がる。
住民たちも力を合わせて石を運び、木材を組み立てていく。
子どもたちは小さな石を拾って運び、お年寄りは職人たちへ飲み物を配る。
誰もが役割を持っていた。
昼頃。
王都からやって来た建築士たちが驚きの声を上げる。
「信じられない……。」
「普通なら数年かかる工事だ。」
「それが一日でここまで……。」
だが、リリアは手を止めた。
「今日はここまで。」
「え?」
グレッグが振り返る。
「まだ明るいぞ?」
「急いで完成させるより。」
「丁寧に作りたい。」
リリアは壁にそっと触れた。
「百年後。」
「この城を見た子どもたちが。」
『きれいなお城だね。』
って思ってくれたら嬉しいから。」
その言葉に、職人たちは静かにうなずいた。
「確かにな。」
「急ぐ理由はない。」
その日の夕方。
一階部分まで完成した王城を眺めながら、住民たちは満足そうに笑っていた。
その時だった。
クラフトガイドが静かに輝く。
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【特別条件達成】
『住民全員による共同建築』
【報酬】
絆の祝福
効果
・建築速度上昇
・住民幸福度上昇
・災害耐性上昇
・国家団結力上昇
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さらに、新たな表示が浮かび上がる。
【国家評価】
★★★★★
【住民満足度】
99%
「99%?」
リリアは首をかしげる。
「あと1%足りない。」
アルトが笑う。
「君らしいな。」
「99%でも十分すごいのに。」
リリアは少し考え込む。
「ううん。」
「まだ何か足りない気がする。」
その時、一人の小さな女の子がリリアの服を引っ張った。
「リリアお姉ちゃん。」
「どうしたの?」
「このお城ね。」
「きれい。」
「ありがとう。」
「でも。」
女の子はにっこり笑った。
「お城の前に、大きなお花があったらもっと好き!」
リリアは目を丸くした。
そして、すぐに笑顔になる。
「そうか。」
「最後に必要なのは、花なんだ。」
フィオナも嬉しそうにうなずいた。
「任せてください!」
夕日に照らされる白い城。
その前には、まだ何も植えられていない広場が広がっていた。
そこが、この国を完成させる最後の一枚になることを、誰もが予感していた。




