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『みんな作れるのに誰も作らないので、元ミニチュアコレクターが本気を出したら国ができました』  作者: eccen.
第3章 理想の街へ

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第24話 夢を育てる工房通り

翌朝、図書館は開館前から人が並んでいた。


「もう並んでる!」


リリアは思わず目を丸くする。


一番前にいたのは昨日の男の子だった。


「お姉ちゃん!」


「また来てくれたの?」


「昨日の絵本の続きが読みたい!」


その笑顔に、リリアの頬も自然と緩む。


「どうぞ。」


男の子は元気よく図書館へ駆け込んでいった。


その様子を見ていたアルトが笑う。


「人気施設になったな。」


「本当にびっくり。」


「でも嬉しい。」


リリアは図書館から聞こえてくる笑い声を耳にしながら、大きく息を吸った。


「さて。」


「次は何を作る?」


クラフトガイドを開く。


新しく解放された施設が並ぶ。


劇場。


音楽堂。


温室。


風車。


工房。


リリアの視線が止まった。


「工房……。」


前世の記憶がよみがえる。


ガラス細工。


陶器。


木工。


革細工。


職人たちが一つひとつ丁寧に作品を作る工房を巡るのが大好きだった。


「決めた!」


リリアは勢いよく立ち上がる。


「工房通りを作ろう!」


「工房通り?」


ハンナが首を傾げる。


「職人さんだけが集まる通り!」


「同じ場所に?」


「うん!」


リリアは地図を広げた。


「鍛冶屋はこっち。」


「木工職人は隣。」


「陶芸工房。」


「ガラス工房。」


「革細工のお店。」


「全部歩いて回れるようにするの!」


グレッグが目を輝かせた。


「面白そうだ!」


「仕事もやりやすそうだな。」


レオン領主も感心して頷く。


「職人が集まれば技術も集まる。」


「新しい作品も生まれるでしょう。」


リリアは満面の笑みを浮かべた。


「そう!」


「一人じゃ思いつかないことも、みんななら作れる!」


その日の建設は今までで一番大規模だった。


広場の東側を丸ごと整備する。


道幅を広げる。


建物の高さを揃える。


軒先には木製の看板。


花壇と街路樹を配置する。


窓から職人の作業が見えるよう、大きなガラス窓も取り付けた。


「中が見えるのか。」


「見える方が入りたくなるでしょ?」


「確かに。」


職人たちも納得する。


昼頃には、木を削る音が響き始めた。


カン、カン。


トントン。


ギコギコ。


様々な音が工房通りへ広がる。


「いい音……。」


リリアは目を閉じる。


機械の音ではない。


人が物を作る音。


その音を聞くだけで胸が躍る。


午後になると旅人たちも集まり始めた。


「ここで作ってるのか!」


「見学できるなんて面白い!」


「子どもも喜ぶぞ!」


ガラス工房では職人が熱したガラスを吹き、花瓶を作っている。


木工工房では椅子が少しずつ形になっていく。


陶芸工房では器が回転しながら美しく整えられていく。


子どもたちは目を輝かせて見つめていた。


「すごーい!」


「大きくなったら職人さんになる!」


その言葉に、木工職人のグレッグは照れくさそうに笑った。


「弟子なら歓迎だ。」


夕方。


工房通りの完成を祝って、小さな催しが開かれた。


職人たちは自分の作品を並べる。


木彫りの動物。


陶器の食器。


色鮮やかなガラス細工。


革の財布。


住民も旅人も楽しそうに見て回る。


「全部欲しくなる。」


「この街に来るたびに新しい作品がある。」


「一日じゃ見て回れないよ。」


そんな声があちこちから聞こえてきた。


リリアは噴水の前から工房通りを眺める。


「よかった。」


前世で憧れていた景色が、また一つ形になった。


クラフトガイドが黄金色に輝く。


【施設完成】


工房通り


【効果】


・職人の技術向上


・新レシピ開発速度上昇


・特産品が誕生しやすくなります


【街発展度 190】


さらに、新しい通知が表示された。


【王立建築学院】


到着まで 3日


そして、その下には見慣れない一文が浮かぶ。


【特別来訪者】


王国第一級建築士 来訪予定


リリアは目を輝かせた。


「建築士さん!」


「どんな人なんだろう!」


隣でアルトは苦笑する。


「その反応なんだな。」


「もちろん!」


「職人さんと話せるなんて楽しみ!」


アルトは空を見上げ、小さく笑った。


「やっぱり君は変わってる。」


普通なら王都の偉い人が来ると聞けば緊張する。


けれどリリアが楽しみにしているのは、その肩書きではない。


「どんな建物を作る人なのか。」


それだけだった。


だからこそ、人は彼女に惹かれるのかもしれない。


三日後、この街には王国最高峰の建築士たちが訪れる。


そしてリリアの常識外れの発想は、王国中の職人たちに大きな衝撃を与えることになる。

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