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『みんな作れるのに誰も作らないので、元ミニチュアコレクターが本気を出したら国ができました』  作者: eccen.
第2章 街づくり開始

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20/30

第20話 市場の日

「王都の視察団が来るまで、一か月です。」


レオン領主の言葉に、広場は静まり返った。


一か月。


長いようで短い。


私は腕を組みながら街を見回した。


パン屋。


雑貨屋。


花屋。


宿屋。


時計塔。


噴水。


石畳。


前よりずっと賑やかになった。


でも、まだ足りない。


「何が足りないんだろう……。」


考え込んでいると、広場の隅で商人たちが荷物を広げ始めた。


野菜。


果物。


木工品。


布。


それぞれ地面に並べて売り始める。


「あっ!」


私は思わず立ち上がった。


「市場!」


アルトが笑う。


「やっと気付いたか。」


「そうだよ!」


私は興奮してクラフトガイドを開く。


すると、新しいページが現れた。


【市場】


条件


・開拓街以上 達成


・商人3名以上 達成


・広場設置 達成


「やっぱり!」


私は思わず飛び跳ねた。


「今日は市場を作る!」


ハンナが笑う。


「リリアちゃん、毎回それ言ってるね。」


「だって楽しいんだもん!」


みんなが笑った。


私は設計図を広げる。


「屋台を並べるだけじゃないよ。」


「歩きやすい通路。」


「休憩用のベンチ。」


「屋根付きの販売スペース。」


「季節の飾り付け。」


商人たちが顔を見合わせる。


「そんな市場、見たことない。」


「だから作るの。」


私はにっこり笑った。


建設は昼までに終わった。


広場の中央には屋台が並び、その間を石畳が走る。


木製の案内板。


花壇。


丸いテーブル。


子どもが遊べる小さな広場まで作った。


商人たちは目を丸くしていた。


「売りやすい……。」


「お客さんが立ち止まってくれる。」


「屋根があるから日差しも気にならない。」


私は嬉しくなった。


前世で見たマルシェを思い出しながら設計したのだ。


昼過ぎ。


市場が始まった。


「いらっしゃい!」


「新鮮な野菜だよ!」


「焼きたてパンです!」


あちこちから元気な声が聞こえる。


子どもたちは走り回り、大人たちは買い物を楽しんでいる。


宿屋へ泊まっていた旅人も笑顔だった。


「こんな楽しい街は初めてだ。」


「一日じゃ足りないな。」


その言葉を聞き、私は胸が熱くなった。


すると、一人の小さな女の子が私の服を引っ張った。


「お姉ちゃん。」


「どうしたの?」


「ありがとう。」


「え?」


「前はつまらない村だったけど……。」


少女は広場を見回して笑った。


「今は毎日がお祭りみたい!」


その笑顔に、私は思わず目頭が熱くなる。


「こちらこそ、ありがとう。」


私は少女の頭を優しく撫でた。


夕方。


市場は大盛況のまま終わった。


商人たちは予想以上の売り上げに大喜びしている。


「また来月も来る!」


「いや、来週来る!」


「店を出したい!」


そんな声が次々と上がる。


クラフトガイドがまぶしく光った。


【市場成功】


【街発展度 120】


【商人定住希望 5名】


【新施設解放】


・工房


・レストラン


・劇場


・図書館


私は思わず息を呑んだ。


劇場。


図書館。


この世界にはまだほとんど存在しない施設だ。


作りたい。


全部作りたい。


「リリア。」


アルトが隣で笑う。


「また顔に出てる。」


「分かる?」


「ああ。」


「全部作りたいって顔だ。」


私は照れ笑いした。


「その通り。」


アルトは小さく笑いながら空を見上げる。


「君なら、本当に全部作ってしまいそうだ。」


その時、広場へ一羽の白い伝書鳥が舞い降りた。


足には王家の紋章が入った筒が結ばれている。


レオン領主が筒を受け取り、中を読む。


そして静かに息を吐いた。


「予定が早まった。」


「え?」


「王都視察団は十日後に到着する。」


広場がざわつく。


十日。


もう時間はほとんどない。


レオンは私を見て微笑んだ。


「ですが、心配はいりません。」


「今の街なら、十分誇れます。」


私は街を見回す。


笑い声。


市場。


花。


噴水。


時計塔。


ここはもう、あの日森で目覚めた私が想像もしなかった場所になっていた。


そして、十日後。


王都から訪れる視察団の中には、一人だけ特別な人物がいる。


その人物こそ、アルトが最も会いたくなかった相手だった。


こうして第2章は幕を閉じる。


小さな村は、誰もが訪れたいと願う開拓街へと生まれ変わった。



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