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『みんな作れるのに誰も作らないので、元ミニチュアコレクターが本気を出したら国ができました』  作者: eccen.
第2章 街づくり開始

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第18話 街のシンボル

朝。


宿屋の窓を開けると、心地よい風が吹き込んできた。


「おはようございます!」


一階から元気な声が聞こえる。


昨夜泊まった商人たちが朝食を食べていた。


焼きたてのパン。


温かいスープ。


採れたての野菜。


「また泊まりたいな。」


「今度は家族も連れて来よう。」


そんな会話が聞こえてくる。


私は思わず笑顔になった。


「宿屋、成功だね。」


アルトも頷く。


「ああ。」


「これで街に滞在する人が増える。」


私は大きく伸びをした。


「じゃあ、次!」


「まだあるのか?」


「もちろん!」


私は広場を指差した。


「街にはシンボルが必要なの!」




みんなを広場へ集める。


そこは以前より整っているとはいえ、まだ少し寂しい。


私は設計図を広げた。


「今回作るのは三つ!」


一つ目。


「噴水!」


二つ目。


「時計塔!」


三つ目。


「石畳!」


ハンナが目を輝かせる。


「時計塔って何?」


「時間を知らせる建物!」


「時間?」


村人たちは不思議そうな顔をした。


この世界では太陽の位置で時間を判断するのが普通だ。


「朝は鐘が鳴って。」


「お昼も鳴って。」


「夕方も鳴る。」


「それだけで生活が変わるよ。」


モルガンは腕を組む。


「便利そうだな。」


「便利だけじゃないよ。」


私は笑う。


「街の目印にもなるの。」




まずは石畳。


私は色の違う石を並べ始める。


灰色だけではつまらない。


白い石。


黒い石。


茶色い石。


少しずつ組み合わせる。


「模様?」


グレッグが驚く。


「うん。」


私は中央へ円形の模様を作る。


花をイメージしたデザインだった。


「歩くだけで楽しくなる道がいいでしょ?」


「そんな発想があるのか……。」


グレッグは感心しながら石を運び始めた。




次は噴水。


丸い石を積み上げる。


中央には小さな女神像……は難しい。


代わりに、羽を広げた鳥の彫刻を置いた。


フィオナが周りへ花を植える。


最後にクラフトスキルを発動。


「クラフト!」


ゴォォッ――。


透明な水が勢いよく噴き上がる。


「わあぁ!」


子どもたちが歓声を上げる。


水しぶきが陽の光を受けて輝く。


小さな虹までできていた。


「きれい……。」


ミアが目を潤ませる。


私も見とれてしまった。


前世で見た公園の噴水。


それを思い出す。




最後は時計塔。


これが一番難しかった。


高い建物。


木組み。


鐘。


歯車。


何度も設計図を書き直した。


「ここは俺がやる。」


アルトが前へ出る。


柱を組み。


梁を渡し。


信じられない速さで塔を組み上げていく。


私は目を丸くした。


「やっぱり上手……。」


思わず呟く。


アルトは苦笑した。


「少し慣れてるだけだ。」


「少しじゃない。」


「少しだ。」


絶対に違う。


私は確信していた。


でも本人は話す気がない。


なら、いつか話してくれる日を待とう。




夕方。


ゴーン……


高く澄んだ鐘の音が街へ響いた。


作業していた人が顔を上げる。


パンを焼いていたミアも窓から顔を出す。


子どもたちも足を止める。


一瞬だけ街が静かになり――


「おおーっ!」


次の瞬間、大きな歓声が上がった。


「鐘だ!」


「街に鐘がある!」


「すごい!」


モルガンは時計塔を見上げながら笑った。


「この街も立派になったな。」


私は広場を見回す。


石畳。


噴水。


時計塔。


花壇。


ベンチ。


どこを見ても、以前とはまるで違う景色だった。


クラフトガイドが光る。


【街発展度 100】


【街ランクアップ】


『村』→『開拓街』


【新機能】


・市場


・定期市


・住民イベント


・観光名所登録


「開拓街……。」


私は小さく呟く。


ついに、村ではなく街として認められた。


その瞬間だった。


街道の向こうから、十数頭の馬が姿を現す。


立派な鎧を着た騎士たち。


中央には豪華な馬車。


その旗には、見覚えのない紋章が描かれていた。


モルガンの表情が変わる。


「あの旗は……。」


アルトも静かに目を細める。


「隣領の領主だ。」


馬車はゆっくりと広場で止まる。


扉が開き、豪華な服をまとった一人の男性が降り立つ。


街を見渡したその目は、驚きに満ちていた。


「……噂は本当だったか。」


その言葉とともに、新たな物語の幕が上がる。


小さな開拓街は、いよいよ王国中から注目される存在になろうとしていた。

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