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『みんな作れるのに誰も作らないので、元ミニチュアコレクターが本気を出したら国ができました』  作者: eccen.
第1章 まず家を建てよう

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第10話 はじまりの街づくり

翌朝。


村の広場。


……だった場所。


私は腕を組みながら周囲を見回していた。


「なるほど」


思わず呟く。


予想以上だった。


何もない。


本当に何もない。


土の地面。


適当に建てられた家。


雑草。


終わり。


村人達は不思議そうな顔をしていた。


「そんなに酷いか?」


モルガンが聞く。


私は正直に答えた。


「酷いです」


「そんなに!?」


村人達がざわついた。


だが事実である。


住むだけなら問題ない。


しかし魅力がない。


人を呼びたいとは思わない。


住み続けたいとも思わない。


私は地面に棒で線を引く。


「まずここ」


一本。


「花壇」


また一本。


「ここにベンチ」


さらに一本。


「街路樹」


村人達が困惑している。


ハンナだけが目を輝かせていた。


「おおー!」


理解者である。


私は説明を続ける。


「この道を整える」


「広場を作る」


「休憩できる場所を増やす」


「みんなが集まれる場所を作る」


村人達は静かに聞いていた。


すると一人が聞く。


「意味あるのか?」


私は少し考えた。


そして答える。


「あります」


即答だった。


「みんな、自分の村好き?」


質問する。


村人達は顔を見合わせた。


嫌いではない。


だが特別好きでもない。


そんな表情だった。


私は笑う。


「好きになれる村を作るの」


沈黙。


そして。


ハンナが大きく手を挙げた。


「やる!」


元気よく宣言する。


その姿に皆が笑った。


だが。


一人が動けば。


二人目も動く。


三人目も動く。


「俺もやるか」


「手伝おう」


「花くらいなら植えられるぞ」


少しずつ声が増える。


私は嬉しくなった。


こういうのは一人じゃできない。


みんなで作るから楽しいのだ。


そして工事開始。


花壇を作る。


街路樹を植える。


ベンチを設置する。


道を整える。


クラフトスキルが飛び交う。


木材が舞う。


石材が積み上がる。


村人達は最初こそ戸惑っていた。


だが。


段々楽しくなってきたらしい。


「おい見ろ!」


「花が咲いた!」


「こっちも完成したぞ!」


笑い声が増えていく。


私はそれを見て微笑んだ。


その時だった。


アルトが木材を持ち上げる。


そして。


ポン。


ポン。


ポン。


三本の街路樹用フェンスが一瞬で完成した。


私は固まった。


周囲も固まった。


グレッグですら固まった。


「……おい」


グレッグが呟く。


「今見たか?」


モルガンが頷く。


「見た」


明らかに異常だった。


普通のクラフト速度ではない。


アルトは気付いた。


しまった。


という顔になる。


遅い。


もう遅い。


私はじっと見る。


アルトは視線を逸らす。


怪しい。


怪しすぎる。


「アルト」


「なんだ」


「何者?」


「旅人」


「嘘」


「旅人」


「絶対嘘」


村人達も頷いた。


満場一致である。


アルトは頭を抱えた。


だが正体は話さない。


そこだけは頑固だった。


夕方。


作業が終わった。


私は少し離れた場所から村を眺める。


花壇。


街路樹。


ベンチ。


整備された道。


まだ小さい変化だ。


それでも。


確かに違う。


昨日までとは別の場所に見える。


モルガンも隣に立った。


「不思議だな」


「?」


「同じ村なのに」


村長は目を細める。


「少し誇らしい」


私は嬉しくなった。


それこそが目的だったからだ。


その時。


クラフトガイドが強く光った。


【大型クエスト達成】


【村発展度 10】


【街づくり機能解放】


【新レシピ解放】


・パン屋


・雑貨店


・花屋


・街灯


・噴水


・宿屋


私は息を呑んだ。


ついに。


来た。


店。


公共施設。


本格的な街づくり。


胸が高鳴る。


そして。


誰にも見えない表示がさらに現れた。


【周辺地域に噂が広がっています】


【注目度上昇】


【王都への情報伝達まで 残り僅か】


私は首を傾げた。


意味は分からない。


だが。


何かが始まろうとしている。


その頃。


遠く離れた王都。


豪華な屋敷の一室。


一人の貴族が報告書を読んでいた。


『森の村に奇妙なクラフト職人出現』


『景観を重視した建築を行う少女』


『村人達の移住希望者増加』


貴族は鼻で笑う。


「景観?」


「くだらん」


そして報告書を机へ放り投げた。


だが。


まだ誰も知らない。


その少女が。


やがて街を作り。


観光地を作り。


王国中を変えていく存在になることを。


そして。


リリア自身もまだ知らない。


隣で笑う旅人アルトが。


王国第二王子であることを。


こうして――


森の中の小さな家から始まった物語は。


新たな舞台へ進む。

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