ダンテという悪魔1
何故かやたらと嫌われているダンテだが、個人的には優秀でかなり助けられたのでそこまで言わずとも良いのではと思ってしまう。それを言うと、「あれはフェリクス様の前でのみ猫を被っているだけです」などと言われる。まぁ、それくらいはするだろう。上司に忖度せん部下の方が少ないだろうしな。
鬼だの悪魔だの散々言われてもいるが、実際悪魔なのでそういうものではないか、という気持ちで受け入れられることの方が多い。
あいつがこの家に来る事が決まってから、アルテは私の部屋から出てこないし、ジークは「しばらくそちらに行くのは遠慮させていただきます」と言うし、ヘスティアも来なくなった。マデリーンも「ま、マデリーンもヘスティア様のお家に行きますね!」と言って最低限の工具を持ってそそくさと出て行った。
そこまでか?
「あの個性豊かで強烈な性格の連中が揃って逃げ出すとか、本当にダンテってやつはどんな人なんです?」
「悪魔だな」
「ドラクルさん、種族名を聞いてるわけじゃないと思います」
そんなことを言う小娘に少し考え込んでから、「他の者曰く、性格も悪魔らしいぞ」と付け加える。
「え」
「私に対してはそうでもないが、他の者には『そう』らしい。おかげでアルテに口もきいてもらえん」
「それは……えっと。大丈夫なんですか? フェリクスさんの知り合いだからいい人かなって思ってたんですけど」
「私の知り合いでも性格が悪いやつは悪いぞ。見ろ、マデリーンを。あのワガママ娘っぷりを」
それでも、ヘスティア曰く可愛いらしいのだが。魔女の末っ子みたいなものだからだろうか。
私としては、勝手に居着くなどの不法行為娘なのだが……。
「まぁ、少なくとも強くて優秀だ。それにしても、最近までヴァチカンにいたというのは面白い話よな。……気付かれなかったのか?」
気付いたところでどうにもできなかった可能性の方が高いが。
余程強い相手でないとダンテを調伏させることなどできんだろうし。あの辺りのエクソシストや聖人を馬鹿にする目的でもあったのだろうか。あいつの場合、あり得そうなのが嫌だな。絶対に悠々と観光していただろうな。
「悪魔が、ヴァチカン……」
「うちの先生方が聞いたら気絶しそうっスね」
「本当に。低位の悪魔なら近付けもせずに結界に阻まれ消えていくって授業でやったもの」
「逆に言えば中位以上の悪魔なら普通に出入りできるぞ。もっとも、少しばかりの弱体化は避けられんと聞いたが」
そして、悪魔という種族のほぼ最上位に位置するような能力を持つダンテにはその弱体化すら意味がないものだ。
今の時代の聖職者は弱いと聞くからな。おそらく、上位数パーセントの相手以外は傷ひとつ与えられないのではないか?
「とんでもねぇやつですね」
「そんな悪魔さんが、ここに来るんですか?」
「ああ。というか……日本にはもう来ているようだ」
第六天からかなりお怒りの電話がきた。「なんであんなモン日の本に入れるんじゃ」だと。
とりあえず、「勝手にきた」と言っておいた。嘘は言っていない。それにしても、第六天がキレていたということはあいつ、こちらに来て早々に何かやらかしたのか? 神社仏閣の結界破壊したり、適当に好みの女を食い荒らしたり……。
すごくやってそう。
「来たら追い返しましょう」
ラウルがそう言うが、あれは抵抗する方が面倒だぞ?
「別に、取って食いはしないのだから」
そういえば、昔「そんなことを言うからやつを調子に乗らせるのです!」と別の部下にキレられた記憶が僅かながら存在する。
だが、仕方ないのではないか? そういうことを言ってくる連中よりダンテの方が仕事ができたのだから。魔王時代は私の求める仕事を熟し、私を楽にしてくれるのであれば、性格など些細なものだったし。むしろ、私を楽にさせない奴らにどうこう言われる筋合いはなかったと今でも思う。
いつも読んで頂き、ありがとうございます。
ラウルは「いや、ヘスティアさんはともかくジークさんが敬遠する相手、よっぽどですよ」と思ったし、口に出した。




