困った三人組
「お前、本当に子どもに弱いな」
「そうか?」
流石に他所の子どもには何も思わんが……。え? 小娘たちへの反応的にそうでもない……? そんなことはないと思うのだが。小娘だって、始めはちゃんと倒したしなぁ。未成年だから生かしたが。それも他の連中曰くかなり甘いそうだ。
目の前で第六天が深々と溜息を吐く。
「フェリクスは自覚がないのが最悪なんじゃよなー」
「こんなことを言いながら、子どもたちに手ぇ出そうとした瞬間、びっくりするほど手ひどい仕返しを喰らうんやからねぇ」
それは、要らん事をしようとするやつが悪いだろう。私がヤバいやつのような言い方はやめてほしいものだ。面倒さで言えば目の前にいるこの二人。第六天魔王 織田信長と陰陽師 安倍晴明に勝る者はおらんだろうに。自分たちのことを棚に上げるな。
「それにしても、近年、厄介なダンジョンや魔物が増えておるな。対応できるような人材を集め、育てるのも簡単じゃないんじゃが……ま! こんなもん、天災みたいなもんじゃし、是非もないネ!」
「せめて僕たちが三人ずつくらいいればどうとでもなるけどねぇ」
「やめろ。一人でも厄介者なのに、増幅されては敵わん」
自分が本気で嫌そうな顔をしている自信がある。
「ええ~! 僕が増えれば色男が増えて嬉しいやろ!?」
「そうじゃ! こぉんなに可愛いわしが増えるのはむしろ喜ばしいじゃろ!」
「ところで信長くんって、男なの? 女なの?」
「は? 普通にどっちでもあるが。わしみたいな存在が男とか女でくくられるとか全生物の損失じゃろ」
そういえば、普段は好んで女装しておるが、今日は男装だな。能力が変わらなくても女だというだけで舐めてくる者もいると聞くし、その対策だろうな。
「じゃというのに、ちょっと可愛い恰好をしているだけで舐め腐る連中が出るの、本当に理解ができん。日の本にわし以上の変異者がいれば、もうとうにこの国の『魔王』は代わっておったと思うのじゃが。猿や竹千代はもう少し賢かったぞ」
そこと比べられると思っている者、誰もおらんぞ。
しかし、自分より強い者がいれば魔王は代わっていたという部分は多少同意できるか。実際にはそれに加え、『現体制に強い不満を持つ』、『多少なりとも権力欲がある』等の条件も加わってくる。強くとも魔王になりたくないと思う者もいるからな。私もできればなりたくなかったが、適任がいなかったからなぁ……。託すならば、それなりに支配地を治められる能力も必要だし。
私の二代後にリリスの姦計で滅ぼされているあたり、統治することは難しいものだなと思う。
「清明。貴様、数年くらい魔王やらん? わし、その間にちょっとバカンスしてくるし」
「嫌だよ。君、そのまま僕に全部押し付けるつもりでしょ」
「楽な政情になったら帰ってくるぞ?」
「それ、難しい局面を全部僕に押し付けようとしとるやん。フェル坊は?」
「あんなもの、二度とやらん」
私が魔王をやっていた期間はそれなりに長いのだぞ。もういい。
後継者というものはなかなか見つからないというのは理解できる。それでも私は血縁で継承するつもりがなかったからまだ楽だった方なのだ。そういうのがあるともっとすごいぞ。
「わしの血縁の女とかやるから、この国治めん?」
「僕のとこの子でもええよ」
「……この時代にそんなことを言うものではない」
「ネットとかに書き込まんかったらいいだけじゃろ」
「実際、異能って血で継承されるもんも多いし、僕らの界隈やったらしゃあないんちゃう?」
ジジイ、若者がいないからと気を抜きすぎではないか? あと、第六天は知らんがお前、その態度普段から出ているからな。
そもそも、魔王はしないし、番う相手なら間に合っている。
まぁ、暴走するだろう本人にはまだ言ってやらんが。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
たとえば、しつこく求婚してくる美人の魔女とか。




