クソモンスター!
「なんですか、コレ」
「見てわかるだろう。辺りを溶解液でびっしゃびしゃにしてくる上に触手まで使用してくるキングスライムだ」
「この厄介なのを『スライム』と呼称していいのか悩むところですね」
こんなものがいては、たどり着いたハンターがいたとしても荷物どころか骨も残らんだろうな。
「倒せますが、装備は壊れるでしょうね」
「お前一人だったらさっきの階層ですでに装備が壊れていた可能性があるな」
「ああ……そういう魔物のボスがいる、というヒントでもあったんですね。感覚遮断落とし穴と触手と強力溶解液スライム」
我々の声はかなりウンザリしたものだ。表情もそうだろうな。ウンザリしているのだから仕方がない。
対魔武器すら使いたくないぞ。全部溶けたりはせんだろうが、修理に出すことになってしまう。こんな、こんな弱い魔物のせいで……!
「さっきかなりの血を消費したからな、予備とはいえこれを使う方が楽なのはわかっているが、釈然とせんものがある」
聖悟も盾を出しながら「報酬より修理代の方がかかる気がしてきました」と怒りを込めた言葉を発している。そうなるだろうな、としか言えん。
「さて、一応これを使っておくとしよう」
「守護用の護符ですね」
気休め程度にはなるだろう。
我々は深い溜息を吐いてから、足元に結界等の魔法を集中させた。そうでなければ足元から溶けるからな。
「短期決戦といこう」
「はい!」
盾を構えた聖悟が「プロヴォーク」と言うと赤い光が散って、あのスライムと言っていいのかもわからん趣味の悪い球体の目がやつに向いた。目らしきものが釣り上がっているので怒っているようだ。
「……あんなものにも挑発の魔法が効くとは」
ついそんなことを言ってしまったが、あの趣味の悪い触手スライムをさっさと片付けなければなるまい。
「赤き月よ」
起動するためにそう告げると、鎌の刃が赤く染まる。触手にかすった部分の布が溶けている。直撃するとマズいことが容易に想像できるから、当たりそうなものは切り落とすが、武器の切れ味が落ちるのであまり斬りたくないものだ。
風の魔法で加速し、コアを狙う。目に一瞬、魔力を集めると、明らかに力が濃い部分が見えた。そこを大鎌で薙ぐ。
さて、斬ったという手応えはあったが……。
「なぜ回転しながら溶解液を撒き散らしている!?」
しかも膨らんでいるぞ。
もしかして、これは。
「最後に自爆して道連れにする気なのではありませんか!」
だろうなぁ!!
「仕方ない!」
私の血が! もったいないが!
この血で盾を作る!!
作った後すぐに爆発した。
なんだこのクソモンスター。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
この後、渋々血を手配するフェリクスはいると思う。




