力技攻略
聖悟の後に続いて歩いていると、次の階層に続く階段を見つけた。
流石に、これは年長者である私が先に行くべきだろうと判断して先に行った。
正解だった。
「聖悟。後ろで少し大人しくしていろ」
酸を吐き出すデカスライムが跋扈している。床も溶解液だらけだ。
聖悟が先行していたら、あの鎧が溶かされていた可能性はあるな。私はそういうスライムがいると聞いていたから防御アイテムを起動できたが。
とりあえず、魔法で殲滅して……この液残るのか。仕方ないな。
私の血を使って……爆発させて……ああ、うん。この感じで液も消せそうだな。しかし、範囲によっては貧血になってしまうか? 普通の生物がいるダンジョンならば、魔物の血に私の血を混ぜていい感じに使用できるのだが……。いっそ、ばら撒く用の血のストックを作っておくべきかもしれんな。
「ドラクルさん。そろそろ大丈夫ですか?」
「あともう少し待て」
最悪、聖悟から血をもらえばよいか。
あいつなら、喜んで私に血をよこすだろうしな。まぁ、眷属にされたいとかよくわからんことも言うが。人間やめても碌なことにならん。やめておいた方がいい。まぁ、若い身体のまま娯楽を楽しめるというのは大した利点だがな! それ以外の利点? ないない。不老とか言うほどよい点ではないぞ。みんな自分を置いて死んでいくしな。まぁ、私のように第六天や清明のジジイみたいな知り合いができるならば少しばかり話は変わるが。あれはなぁ、存外、ただ生きているだけで気をおかしくする者も出るのだ。
そんなどうでもいいことを考えながら作業を終えて、「もうよいぞ」と声をかける。
「おや。一体、何がいたんですか?」
「溶解デカスライム」
正式名称ではないものの、何がいたかについては理解をしたらしく、「また厄介なものが……」と言う。
「掃除は終えた。さっさと次に行くぞ」
「こちらには厄介な罠はなかったんですか?」
「あったかもしれんが、もうわからん」
全部爆破したからな。
力技でも作業が終わればなんでも構わんだろう。まぁ、この方法を怒るやつもいるが。
一度、「全部ぶっ壊せばいいってもんじゃないんじゃが!?」と言われたことがある。いや、危険物ならば全部ぶっ壊せばいいだろう。今でも理不尽だなと感じる言葉である。
「さすがはドラクルさんです!」
褒められるのは良い気分ではあるが、あまりキラキラした目を向けられても困るな。私はそんなに善良な生き物でもない……はずだ。いや、しかし、最近の絡まれ方を見ると、今の私って割と善良のラインに入っている気がしてきたな? まぁ、昔から確かに魔とつく存在の割にはまともだとよく言われていたが。
「そういえば、回収した魔石の分配は後でよいか?」
「え。してくださっていたのですか?」
「一応な。まぁ、この階層のあれは床にあった溶解液で大半が溶けてしまったが」
つくづく旨味のないダンジョンだ。
さっさと消し飛ばすべきだな。
「褒められるところは、もうすぐそこが最終層だということだけか」
「ボス部屋、ですね」
力技で罠と溶解液をどうにかできる我々だからこんなに早くここに来たが、まともなハンターなら被害の一つや二つ、出ていたかもしれんな。
さっさと倒して帰るぞ。悪趣味なダンジョンはなくした方がいい。
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
フェリクスは割と善良だと思われてはいるが、反面「敵対すれば容赦ない」ことも知られているぞ。




