20話 VSミノタウロス~2~
(――【比例斬撃】)
このスキルは名前の通り、ステータスに比例して攻撃力が変わる攻撃を繰り出せる。
それも相手のステータスの生命力に該当するVIT――防御力もこれに関わる――が高ければ高いほど、攻撃力も高くなる。
――いわゆる『防御力比例攻撃』である。
ミノタウロスのステータスはかなり高いので、生半可な攻撃ではダメージを与えられそうにない。
そこで、聖剣でMPを補充しつつ、この【比例斬撃】のスキルを軸に戦っていこうと思う。
今は【透明化】のスキルを持つ聖剣『インヴィジブル』を装備しているので、これを恩恵の高い聖剣に替えて、姿が戻った瞬間にミノタウロスに不意打ちを食らわせてやる予定だ。
(――行くぜっ!)
聖剣『インヴィジブル』を【アイテムボックス】に仕舞まう――その瞬間【透明化】のスキルの効果が切れる。
しかし、背後にいるために、ミノタウロスは未だに気づいていない。
すぐに恩恵用の聖剣を取り出し、腰に装備する。
そして、ミノタウロスの背中に斬りかかる!
――汚い? 卑怯?
命の掛かった戦いで、そんなことは些細なことだ。
『――ガアアアアアッ!?!?!?』
突然の一撃に、思わず悲鳴のような声を上げるミノタウロス。
しかし、これで終わらせるつもりはない。
振り下ろした魔剣の持ち手を入れ替えながら斬り返し、2撃目を放つ。
ミノタウロスは俺に気づき、振り返っているところで隙しかない。
そして、今度は振り返ったためにミノタウロスの正面を魔剣が捕らえ、切り裂く。
――合計2撃。
それも、ミノタウロスの高いVITに比例した攻撃だ。
しかし、ミノタウロスは怯みながらも、手に持ったハルバードを振り払ってきた。
苦し紛れの一撃だが、ステータスを考えれば致命的な一撃にも成り得る攻撃である。
「――くっ、、、!」
剣を振るった後の体制を無理やり動かし、後ろに跳ぶようにしてハルバードの振り払いをかわす。
体制を整え、ミノタウロスの方へ視線を動かすと、ミノタウロスはスキルを発動して受けた傷を治し始めていた。
「――さすがに、この程度で倒されてはくれないか、、、」
だけど、効果は十分にあった。
鑑定をすることが出来ないので正確な数字こそわからないけど、ミノタウロスがスキルで慌てて回復したことと、与えた傷の大きさから言っても、かなりのダメージはあったはずだ。
――これなら、聖刀『氷面鏡椿』の【一刀両断】を使わなくても、ミノタウロスを倒すことも十分可能だろう。
「恨みはない、、、 ――いや、もしかしたら俺が貰えるはずだった『神鋼』を取り込んだかもしれないから、恨みはあるのかもしれないけど、、、 まあ、これも一種の運命ということだ」
――俺は【比例斬撃】を発動し直しながら、ミノタウロスの懐に飛び込んだ。
◇◆◇
「――はあ、、、 はあ、、、」
ミノタウロスとの戦いは熾烈だった。
聖剣の恩恵で上昇したステータスでミノタウロスの動きに食らいつき、【比例斬撃】を何度も使い倒した。
文章で表せば、軽いように感じるが。
ミノタウロスの攻撃を一撃でも受ければ重傷に近いダメージを負うので、なるべく躱しつつ、当たってしまったら慌てて魔法で治す。
ミノタウロスにも【超回復】という回復系のスキルがあるので、【比例斬撃】で与えたダメージをMPが許す限り回復する。
結果、どちらのMPと集中が切れるか、という消耗戦になった。
もちろん、結果は俺の勝ち。
聖剣と魔剣の剣核開放という手段があるので、MPにかなりの余裕があったのが大きかった。
しかし、俺も精神的にもかなりのダメージを受けた。
一番辛かったのは、ミノタウロスのある攻撃を受けたときの痛みだった。
戦いの最中、【比例斬撃】を当てることができたときに、一瞬気を緩めてしまった時に、ミノタウロスがハルバードではなく頭の角で攻撃してきた。
予期もしていなかったその一撃は、俺の腹を貫通した。
――すぐに回復魔法で治したけど、、、
「あれは、痛かったな、、、」
いまだに、お腹に何かが刺さっているような違和感が残っている。
回復魔法で治したので、問題はないと思うのだけど、、、
――ともかく、ミノタウロスとの戦いは蹴りが付いた。




