21話 救助
「――これは、まさかっ!?」
倒したミノタウロスを放置するのも気が引けたこともあって、俺はミノタウロスを解体していた。
すると、ミノタウロスの心臓付近に、なにやら鉱石のようなものを見つけた。
それを取り出し、軽く磨いた後で鑑定をしたところ、、、
――なんと、『神鋼』だった。
大きさも結構あり、剣を打とうと思ったら2振りくらい打てそうなほどだ。
「――ミノタウロスを倒したのは俺なんだし、これは頂いちゃってもいいよね」
周りに人がいないのを目視で確認し、『神鋼』を【アイテムボックス】に放り込み、残ったミノタウロスの死体に火属性の魔法を放つ。
これで、後で何かを言われても、ミノタウロスは焼けて死に何も残らなかったことに出来る。
「長かった、、、」
ようやく念願だった『神鋼』を手に入れることができた。
そういえば、ミノタウロスから『神鋼』が回収できたってことは、モルからも『神鋼』が取れたかもしれない。
あの時は他に手も思いつかなかったので『紫炎葬送』で燃やし尽くしてしまったのだが、可能性はあったかもしれない。
まあ、終わったことはどうでもいいや。
「このまま、ココルテに帰って刀を打ちたいところだけど、一応ガント村の生き残りを探さないと、、、」
――サラさんとの約束もあるので、生き残りを探すべく、俺はガント村を探し回った。
◇◆◇
「――なんで忘れていたんだろうか、、、」
ガント村を端から端まで探したけど、生き残りは見つからなかった。
このまま、帰ってサラさんに報告でもしようかと思ったところで、あることに気づいた。
それは1振りの聖剣のスキルである。
スキルの名前は【索敵】。
効果は、近くにいる人や魔物の位置が分かるというもの。
――そう。
ミノタウロスを探すにも、生き残りを探すにも、すごく活躍する便利なスキルなのだ。
本当に何で忘れていたんだろう。
うん、、、
過ぎたことはしょうがない。
今からでもいいから使ってみよう。
「――【簡易マップ】・【索敵】」
2つのスキルを発動すると、頭の中に直接辺りの地形の情報が流れ込んでくる。
その中の、ガント村の中心辺りに数十人の反応があった。
「あれ? 確かこの近くも通ったはずだけど、何にもなかったよな」
――とりあえず、反応があった場所まで行ってみよう。
◇◆◇
「――やっぱり誰もいないよな」
【索敵】のスキルでは、確かにこの近くに数十人規模の反応がある。
しかし、見回しても人っ子一人の影も見当たらない。
「あるのは、瓦礫だけ、、、 ――っ! そういうことか」
試しに、瓦礫を取り除いてみると蓋らしきものを見つけた。
彼らは地上ではなく地下にいたのだ。
意外と重かった蓋をステータスのごり押しで開け、地下へと続く階段を下りていく。
明かりも無く暗かったので、魔法で明かりを作った。
階段を下った先には扉が待ち構えていた。
「――結構丈夫そうな扉だな」
この先は、ただの地下室ではなく地下シェルターとでも言うべき施設なのだろう。
一体どんなことを想定して作ったのやら。
――あっ。
扉を開ける前に『カメリア』の仮面でも被っておこう。
【アイテムボックス】から、闘技大会に時にもお世話になったお面を取り出す。
もはや、ばれても問題はないんじゃないかとも思うが、、、
――一応、念のため、というやつである。
「――すみません! 救助に来ました!」
――――
――――――――
――――――――――――返事がない。ただの扉のようだ。
――あー。
聞こえないのかな?
試しに開けてみようとしたが、扉には鍵がかかっているのか、びくともしない。
ノックしてみたりも声をかけても、相当な厚みがあるためなのか伝わらないみたいだ。
しょうがない。
こうなったら、実力行使だ。
「――せいっ!!!」
吹き飛ばすように扉を壊しては中の人に被害が出るかもしれないので、斬ることにした。
色合い的にたぶんアダマンタイトで出来ていたであろう扉も、聖剣の前では豆腐までとはいかないが、すんなり斬れていく。
ちょうど×のように斬れ目を入れ、今度は柄で叩く。
すると扉だったものは崩れていく。
扉の残骸が崩れると共に砂埃を舞い上げてしまったので、あまり砂埃を吸い込まないように息を止めて中に入っていく。
部屋には【索敵】の反応通り、数十人にも及ぶダークエルフたちが居た。
――中には小さい子どももいる。
「――だ、誰だっ!?」
他のダークエルフたちを庇うように前に出た、比較的大柄で筋肉質のダークエルフが俺に剣を向けてきた。
助けにきたというのに、少しばかり心外だ。
――確かに今の俺は、扉を壊して入ってきた変な仮面を被った怪しいやつだけどさ。
ともかく、今は素性を明かして、一体何があったのかを聞かないと。
「俺は『カメリア』。しがない鍛冶師だ。外にいたミノタウロスを倒して、助けに来た」
「本当かっ!?」
ダークエルフたちに驚きが広がる。
中には小声で喋る人もいたので、その会話に耳を澄ます。
会話の内容は、助かったことに安堵するか俺を怪しむことだった。
そんな中、一人の老人が俺の方へ歩み寄ってきた。
「助かった。ワシはガント村の村長のライオットじゃ。ワシらでは外のあれに対抗できなくてな。こうして、逃げ隠れるのが精いっぱいじゃった。――礼を言うぞ、カメリア殿」
どうやら、この爺さんがサラさんが言っていた村長みたいだ。
――さて、話を聞こうじゃないか




