22話 交渉
「――それでは、あのミノタウロスは魔族が?」
ガント村の生き残りが逃げていた地下シェルターを見つけ、その中にいた村長から事態の経緯を聞いていた。
「そうじゃ。と言っても、最初は怪しげな奴だと思っていたのじゃが、、、」
村長の説明を纏めると、、、
ことの発端は、ガント村にある鉱山から『神鋼』の脈が見つかったこと。
『神鋼』は潜在的な価値こそ他の金属を圧倒するが、扱うのが非常に難しいために売り先が中々見つからないで、困っていたらしい。
そんな中、とある人物がやってきて『神鋼』を売ってほしいと言ってきた。
その人物は、ダークエルフのことを知っていたらしく、かなりの美術価値を持つ調度品と食料などを持ち込んできた。
食料はともかく、調度品の方はとても良いものだったらしく『神鋼』の扱いにも困っていた村長は譲ることにした。
ここまでで済めば、問題は無かったのだが、、、
その人物は、ガント村の近くに拠点を作り、そこで何かしらの作業をしていて、定期的に調度品を持ち込んでは、『神鋼』を譲ってもらうということを繰り返していたらしい。
最初こそ、美術価値の高い良い物が貰えるということで喜んでいたのだが、そのうち『神鋼』の使い道が気になり始めていた。
そんな時、サラさんから俺が『神鋼』を欲しがっていると言う話を聞き、『神鋼』の譲り先を変えることにしたみたいだ。
――で、その話を、その怪しい人物に話したところ。
その人物が逆上。
ガント村を襲って『神鋼』を奪おうと企んだらしい。
しかし、実験途中だったミノタウロスが命令を無視するどころか暴走して、その人物――実は魔族だった――が襲われ死んだ。
ミノタウロスは暴れることを辞めず、目につくものを破壊しつくしていった。
なんとかガント村の住民たちは、この地下シェルターに逃げ込んだものの、外には出れず、いつまでこうして怯えていればいいのか分からず、困っていた。
――と、いうのが事件の全貌だった。
「それで、お礼の方なんじゃが、、、 すまんが『神鋼』で手を打ってはくれんか? 村を救ってくれたお主には、この村の全てを主張することも出来るじゃろうが、ワシらも生きて行かねばならん」
「――別に構わない。もともと『神鋼』が目的だった。これから優先的に『神鋼』をくれるというのなら、他には何も請求しない」
ちなみに、口調を変えているのは『カメリア』としての演技としてである。
「本当か!? それは助かる。幸い村の皆は助かったが、家などは壊滅だったから、いろいろ厳しかったんじゃ」
まあ、外の状況を見れば、そんなことは一目瞭然だろう。
村長の言葉に他のダークエルフたちも落ち込んだ表情を見せ始めていた。
そこへ、無邪気な子どもの空気を読めない発言が拍車をかけている。
村長はともかく、他のダークエルフたちは村の状況を思い、途方に暮れている状態みたいだ。
これでは、復興にどれだけの時間がかかることやら、、、
「――はあ。わかった。村の復興にも少し手を貸そう」
「良いのかっ!?」
――良いも悪いも。
このままでは、『神鋼』の採掘が出来るようになるまで、いつまでかかるか分かったものじゃない。
ガント村の立て直しに参加するのも必要経費だろう。
「――ああ。ただ、一度ターニアに戻らせてもらう。サラさんへの報告もあるし、仲間にも説明しないといけない」
「それはもちろんじゃ。ワシらも出来ることをしておこう」
村長は話が終わると、他のみんなと話し合いを始めた。
少しばかりダークエルフたちにも希望の色が見え始めているので、なんとかなりそうだ。
(とりあえず、一旦ターニアに戻って皆に説明しないとな)
――俺は来た道を引き返し、ターニアに向かった。
◇◆◇
「――そういえば、、、 うん。時間もまだあるし、大丈夫か」
ターニアに戻る途中、あることを思い出した。
それはガント村へ行く時に狩った魔物を放置したままだったことである。
皆には、お昼ごろまでに帰らなければ対応してくれとお願いしたのだが、今はまだ明朝ぐらい。
少しくらいなら、寄り道しても大丈夫だろう。
記憶の中にある、魔物たちと戦った(一方的にだが)場所を思い出し、それぞれを処理していく。
肉などは傷んでいたら危ないので地面に埋め、素材だけを回収することにした。
「確か、ここで最後だったはず」
ミノタウロスとの戦闘もあり、少し記憶が怪しくなってきているけど、たぶんあっているはず。
最悪、放置する予定だったのだし、これだけでも処理しとけばいいだろう。
――さて、ターニアに向かうか




