13話 家探し
「――さて、刀を打つことは決まったけど、問題があるな、、、」
サラさんとの話し合いで、ガント村のダークエルフたちから『神鋼』を譲ってもらうための交渉材料として、刀を使うことが決まった。
ただ、あいにく刀の持ち合わせがないため、新しく刀を打たなければならない。
しかし、刀を打つためにには2つほど問題があった。
まずは、刀を打つための場所だ。
『魔法炉』を使うことによって、比較的場所を選ばなくはなったものの、さすがに宿屋で作業をするわけにはいかない。
なので、町の中心街が外れた場所に家を買うか、町の外で人目を気にしながら作業をするしかないのだ。
次の問題が、刀の材料だ。
もちろん、今俺が持っている金属のストックはをたくさんある。
では、なぜ材料が問題になるかというと、、、
――今回の刀は恩恵やスキルが目的ではなく、見た目が重要になる。
見た目重視で刀を打つのなら、個人的には素材に玉鋼を使いたいところだ。
しかし、残念ながら玉鋼のストックというか持ち合わせはない。
そもそも、玉鋼はその辺で買える物ではないのだ。
異世界だから玉鋼が手に入らないわけではなく、流通することがほぼないためだ。
間違えられがちだが、玉鋼は金属の名称ではなく、和鋼の等級を示す言葉である。
和鋼とは、鉄鉱石や砂鉄などから製鉄してもので、その和鋼の等級が一番高いものを玉鋼と呼ぶのだ。
この世界には製鉄の技術はないわけではないが、他に有用な金属などがあるため、あまり製鉄は行われない。
そのため玉鋼が流出することは、まずない。
別に素材をミスリルやオリハルコンで刀を打っても結構なものが作れると思うが、やはり個人的には玉鋼で作った日本刀が、一番美術品としての価値もあると思う。
それに久しぶりに玉鋼を使いたいという欲求もある。
とすると、玉鋼を手に入れるためには、鉄鉱石などを仕入れて、それを製鉄する必要が出てくる。
一応『魔法炉』の応用で製鉄も出来ると思うので、そのためにやはり場所が必要になる。
――以上の理由から、作業を出来る拠点――すなわち家が必要と思われる。
「仕方ない、皆に事情を説明した後、不動産屋に行ってみよう」
――宿屋に帰った俺はミミとココネとシェーラに、サラさんとの話し合いの内容と、先ほどの事情を説明し、3人を連れて不動産屋に向かった。
◇◆◇
「――ああー。すみませんね。あいにく紹介できそうな家はないですな」
不動産屋に行き、具体的な条件を付けて家を探してもらったところ、返って来た答えはそれだった。
「本当ですか?」
「そうなんです。今郊外には空き家はなくて、中心街ならいくつか紹介できますが、どうします?」
――ふむ。
これは、困った、、、
助け舟を求め、ミミとココネとシェーラに視線を向けるが、返ってくるのは、いい案は思いつかないという視線のみ。
「そうですか、、、 わかりました。一度戻ってゆっくり考えてみることにします」
「わかりました。いいお返事を期待しています」
さすがに、相談内容は他の人に聞かれるのはマズいので、一度店から外に出て宿屋に向かい歩き始める。
そこで、周りにきこえないように、小声で3人に話しかけてみる。
「――お目当ての家は見つからなかったけど、どうすればいいかな?」
「すみません。私はいい案が思いつきません」
「私もなの」
「お力になれなくて申し訳ありませんわ」
まあ、家を探していて、条件が合う家が見つからなかったのだから、いい代案もあるわけがないか。
さすがに、空き地を探して家を建てるのも無理が、、、
――あれ?
家って、建てようと思えば建てられるんじゃね?
「たとえば、、、 空き地を買って、そこに家を建てるとかはどうかな?」
「家、ですか、、、?」
「どうやって建てる、なの?」
「さすがに家を建てるには、それなりの日数がかかりますけど」
「そこは、魔法で、ぱあーっと、、、」
土属性とか、木属性の魔法を、うまく組み合わせでなんとかなると思ったのだが、、、
「ご主人様、、、 さすがにそれは無理があると思います」
「そうなの。第一、家を作る魔法なんてないの」
「あったとしても、消費されるMPの量から、一般人では使うことはできませんし。教わることも無理ですわね」
「やっぱり、だめか、、、」
どうやら、魔法で家を作るのは、無理とは言えないが、現実的ではなさそうだ。
――これじゃ、郊外で家を用意するのは無理か、、、
中心街の家ならば、何件か紹介できると言っていたので、最後はそこを買うしかなさそうだ。
ただし、問題になるのは、、、
(――剣を打つため時の音だな)
まあ、解決案がないわけではない。
単純なことで、剣を打っている間、音が外に漏れないように防音結界を魔法で張ればいいだけだ。
ただ、刀を打つのに集中したいので、俺が魔法を使うのは遠慮したいので。
多少面倒かもしれないが、魔剣でMPをカバーして、ミミとココネとシェーラにローテションしながら魔法を使ってもらえばいい。
他に案もなさそうだし、今回はこれで行こう。
「それじゃあ、3人にお願いしたいことが――」
「――あ! いいこと思いついたの」
ミミとココネとシェーラに、魔法で防音結界を張ってもらうようお願いしようとすると、ココネが何かを思いついたそうで、俺の言葉を遮った。
遠慮しだしたココネに、先に思いついた内容を聞いてみた。
ココネの案の、その内容を聞くと、確かにいい案だと思う。
なので、次の日。
――俺は、ある場所に向かった




