06話 魔法薬
「――じゃあ、ルウはエルフのお母さんの薬を買いに来ていたんだ」
馬車での移動中。
御者は例のごとくミミとココネが買って出たので2人に任せている。
そこで、俺とシェーラとルウの3人でいろんな話をしていた。
今はルウの話を聞いていたところだった。
「はい、、、 なんでも珍しい病気みたいで、治すためには高位の魔法薬が必要だったんです」
「それでユーリンに来ていたのか」
「はい。ユーリンは流通が良いですから、こうして目当ての薬も手に入りました」
ルウが懐からポーションのようなものを取り出し、見せてくれる。
鑑定してみようかと迷ったのだが、イービルの時のことを思い出し、もしルウが偽物を掴まされていたら困ると思い当たり、こっそりと【超高位鑑定】を使ってみた。
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名前:低位魔法薬
説明:軽い病気を治すことができる
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――あれ?
これってもしかして、、、
そういう、、、ことだよね、、、
たぶん、子どもだからといって足元を見られたのだろう。
いや、足元みるどころの話ではなく、これはもはや詐欺だ。
ただ、問題なのは、、、
この事実を、どうやってルウに説明するかだ。
さすがに鑑定に聖剣を使ったことは説明できないし、それに鑑定したといっても、こんな事実そう簡単に認めることはないだろう。
できることなら、ルウ自身が鑑定をすれば話は簡単なのだが、、、
――そういえば、【アイテムボックス】に入れっぱなしになっている鑑定石があったはず。
これなら、ルウも納得できるはずだ。
とりあえず、確認から、、、
「――そういえば、その魔法薬って鑑定してもらった?」
「えっ? いえ、、、 鑑定にはお金もかかりますし、魔法薬を買うだけで精いっぱいだしたから」
「じゃ、これを使って見て」
少々強引な気もしなくはないが、結果はすでに分かっているのでしょうがないとしよう。
【アイテムボックス】の中で倉庫番となていた、以前にお世話になった鑑定石を取り出し、ルウに手渡す。
「これは、、、 もしかして鑑定石ですかっ!? いいんですか、こんなに大きいものだと、かなりお高いんじゃ、、、」
「大丈夫だよ。とにかく、使ってみて」
「はい、、、 それじゃ、お言葉に甘えさせてもらいます。――『鑑定』」
ルウが鑑定石を握り締め、魔法薬を鑑定する。
わずかなタイムラグがあった後、ルウの顔が目に見えて変化していく。
その変貌ぶりは、わかってはいたことだけど、さすがに見ていられないものだった。
「う、そ、、、 これじゃ、お母さんは、、、」
ぽろぽろと、ルウの目から涙が零れ落ちる。
泣かすつもりじゃなかったんだけど、、、
「どうする? 今からユーリンに戻ってちゃんとした魔法薬を探す?」
「で、、、 で、も、、、 私には、もう、お金、が、、、」
「お金のことは大丈夫。俺が出すから」
「です、が、、、 それに、お母さんには、もう、時間が、、、」
――そう、か、、、
ルウの母親の容体は、結構悪いみたいだな。
すでに旅路はターニア寄りの場所まで来てしまっている。
ここからユーリンに戻って、またターニアに向かうとなると、。。
――たぶん、半月ぐらいはかかってしまう。
「これじゃ、、、 お母さんは、、、」
ルウが最悪の事態を想像し、ダムが決壊したように、その目から大量の涙を流し始める。
こんなに小さい子――それも混血魔であり、よほど危険で嫌な思いをしながらも、母親のために1人で遠い町まで薬を買いに行ったはずだ。
それなのに、肝心の薬は偽物を買わされ、助かるはずだった母親は助からない。
――そんなこと、許容できるはずがない。
「大丈夫だ。ルウのお母さんはきっと助けて見せるから!」
「――えっ、、、」
――聖剣の力なら、病気の1つや2つ、どうにか出来るに決まっている




