02話 新たな疑問
(――まずいっ!)
海では海龍が有利すぎる。
それに船で海龍と遭遇なんて最悪の事態と言っても過言じゃない。
その上あの海龍、、、
レベルも上がっていて、ステータスも高くなっている。
「――どうする、、、? 乗客にばれるのを覚悟して聖剣を使うか、、、」
この状況をどうにかするには魔剣では荷が重そうだ。
それだけでなく、船には乗客の他にもミミやココネやシェーラが乗っている。
海龍に襲われたら皆が危ない。
「――俺の正体がばれようが、みんなの命には代えられないか、、、」
俺はアイテムボックスから聖剣を取り出す。
鞘に入っている状態では誰も聖剣とは気づかない。
しかし、刀身を抜いたら気づかれるだろう。
「――でも、しょうがない、、、!」
意を決し、聖剣を抜き放とうとする。
「――っ!」
しかし、聖剣を抜こうとした手は途中で止まった。
海龍が海から顔を出し、俺を見ていたからだ。
まるで、様子を見ているようだ。
(そういえば、、、 前に遭った時も目が合ったような気がしたんだっけ)
海龍は襲ってくるような雰囲気ではなさそうだが、逃げる気配もない。
ただただ、こちらの様子を伺っているだけだ。
(でも、いつまでも襲ってこない保証はない)
せめて皆に事情を説明したいところだが、海龍が俺の様子を伺っている状況で動くのは危険な気がする。
俺が動いた瞬間、海龍が襲ってくるという可能性が高いと思う。
このまま、前の時みたいに逃げてくれればいいんだけど、、、
『――久しいな、小僧』
――っ!
頭の中に声が、、、
(一体何が、、、)
『――聴こえておらんのか?』
(誰だっ!?)
『私はリヴァイアサン。海龍の称号を持つものだ』
(海龍!? じゃあ、、、)
視線に先にいる海龍をよく見てみる。
すると、頷くような仕草を見せた。
『理解できたか?』
(――ああ。半信半疑だけどね)
『ならばよい。小僧、その手のものを良く見せてみろ』
(――手?)
自分の右手に視線を移す。
そこにはあるのは黄金色のミサンガ。
――たぶん、これのことだろう。
聖剣の加護を持つ不思議なミサンガ。
たとえ、海龍が興味を持ったとしてもおかしくない。
(――これがどうかした?)
『そちらの手ではない。もう片方の赤い方だ』
海龍の言葉(?)に促されるまま、視線を左手に移す。
俺の左手には、経験値が入らなくなるという、ある意味呪われたミサンガついている。
(――なんで、海龍がこっちに興味があるんだ?)
そう思いつつも、左手を海龍から見えるように上げる。
とりあえず今は従っておこう。
『――ふむ。やはり、そのミサンガは、、、』
(――っ! 何か知っているのか)
『うむ。そのミサンガは、かつて我と戦った異世界人がしていたものによく似ている』
(それって、まさか。海龍を撃退したっていう異世界人のことか)
『人間どもに伝わる話とは、少し違うがな』
(どういうこと?)
『いや、この話は伝えるつもりはない。だが、そのミサンガについては少しだけ知っている』
(教えてくれるのか?)
『いいだろう。懐かしい記憶を思い出させてくれたお礼だ』
懐かしい記憶、、、
たぶん、その異世界人のことだろう。
『そのミサンガはかつての我の友もしていた。その友が、ミサンガは神から貰ったと言っていたはずだ』
(――神? それって神様のことか?)
『その通りだ。友が言うには、自分をこの世界に呼んだ神が報酬代わりにくれたものだと』
(報酬? 経験値が入らなくなるのに?)
もしかして、その異世界人はお金が大好きだったのだろうか。
お金のためだったら、このミサンガは素敵アイテムだ。
『――いや、経験値が無くなると聞いたことはない。友はチートスキルというものが手に入ると言っていたはずだ』
(――えっ、、、)
『ふむ。その様子では効果が違うみたいだな。大方、神が相手に合わせて効果を買えたのだろうが』
ってことは、つまり、、、
俺をこの世界に飛ばした神様が、俺に経験値が入らなくなるように偽装したってことか。
(――一体、なんのために、、、)
『さあな。私はしらん。――さて、このぐらいにして私はそろそろ去るとしよう。人間に見つかっては少々面倒だ』
「――待っ、、、」
あわてて呼び止めようとしたが、海龍は海に潜ってしまい、船から離れるように泳いで行ってしまった。
戦いにならなくて済んだのは良かったが。
――どうやら、俺がこの世界に来たのには理由がありそうだ




