21話 帰還
「――ようやくか、、、」
ルジオールを出て10日で港町ルトリアに到着した。
本来なら7日で着く予定だったのだが、思わないところで足止めされたのが理由だ。
「好意だったし、断るわけにもいかなったんだよな、、、」
俺たちを足止めしたのは、マラア村の人々だったのだ。
前に来た時に魔物の実験体を倒したことから、救世主として扱われる羽目になった。
まあ、魔物の実験体を倒したのは、ミミとココネとシェーラということになっているので、俺はさほど目立つことはなかったのだが。
そんなわけで、少しばかり遅くなったものの、俺たちは無事ルトリアに着いた。
「――それじゃ、さっそく『カメリア商会』に顔を出そうか」
「わかりました」
「はい、なの」
「はいですわ」
今回の目的は、ココルテの町で商いをする旅商人の受け皿として『カメリア商会』を使おうと思っているので、そのために3姉妹に協力を仰ぐことだ。
漠然とした内容しか決まっていないので、ちゃんとした知識がある人に協力してもらいたいところだ。
◇◆◇
「――あれ? その2人は、、、」
『カメリア商会』の本拠地である建物に行くと、前ほどではないが行列ができていた。
なので、例のごとく裏口から入ったのだが、そこには3姉妹の長女の他に見知らぬ人が2人いたのだ。
「シロウ様は会うのは初めてでしたね。この2人は私たちの両親です」
そういえば3姉妹は、父親の借金の形として奴隷になっていたんだだっけ。
それで、両親も確か奴隷として、3姉妹とは違うところに売られたっていう話だったはず。
その両親がここにいるってことは、、、
「それじゃ、2人を買い戻すことができたんだね」
「はいっ! これもシロウ様とカメリア様のおかげです」
わざわざ、俺とカメリアの名前を出すのは、両親にも俺がカメリアだってことは話していないからだろう。
奴隷の条件として俺のことは他言無用ってことになっているので、例え両親でも話せないはずだ。
「それで、両親も働きたいと言ったので、相談もしないで『カメリア商会』の従業員として働かせていただいています。――すみませんでした」
「ん? 別に謝ることはないよ。もともと『カメリア商会』のことは全部任せているんだし」
「そう言っていただけると、助かります」
むしろ、ほとんど投げやりな状態なのだから、少しくらい我儘を言ってもらっても構わない。
それに、これからまた無理をお願いするつもりだし。
「うん。それで話は変わるんだけど、頼みたいことがあるんだけど」
「なんでも仰ってください。シロウ様のお願いでしたら、何でもいたします!」
「私たちも、手伝いますぞっ」
「では、ココルテの町の旅商人の件なんですけど――」
俺は、考えていたことを話し出した。
3姉妹の父親は、もともと商会を運営していた立場だけあって、かなりいい助言をしてもらえた。
――おかげで、より綿密な計画を立てることができた。
◇◆◇
「――ふう、、、 ようやく我が家に帰ってきたな」
旅商人の件を3姉妹と父親に任せ、俺たちはココルテの町にもどってきた。
懐かしの『神鋼炉』が付いた工房に帰ってきたのだ。
ルトリアでは海龍と遭遇したり、王都では剛田と再会したり、ルジオールでは魔族と戦ったりと、中々に壮絶な日々を過ごした気がする。
しばらくは、旅の疲れをいやす時間と、次の旅に備えて聖剣を打つ時間として当てようと思っている。
ミミとココネは、前みたいに家事をお願いしてある。
そして、シェーラはというと
「それでは、シロウ様。名残惜しいですが、私は一度父に会いに行ってきますわ」
「うん。気を付けてね。一応魔剣も渡したし、大丈夫だと思うけど」
「問題ありませんわ。では、シロウ様もお体にはお気をつけください」
一度、城に帰ることになった。
なんでも外せない用事があって、また旅が始まる前に済ませておくとのことだ。
「――俺も聖剣を打つかな」
今までの旅のことを考えれば、聖剣も多めに用意しておきたいとこである。
1本打つのに時間もかかるので、最低でも3ヵ月くらいは工房に籠ることになりそうだ。
――さて、どんな聖剣を作ろうかな
次回から5章に入ります




