18話 VS魔族&実験体~2~
「――やっかいな、、、」
『神鋼』を取り込んだモルは、とても強かった。
救いだったのは、まともな知性が無いためか、戦い方が馬鹿正直だったことくらいだ。
ただ、それよりも問題なのはイービルの援護射撃だ。
イービルは、直接攻撃してくるようなことはないが、魔法で援護してきた。
時に射撃、時に回復、時に強化。
それぞれを臨機応変に使い、モルが有利に立ち回れるようにしてくる。
「――さすがに、荷が重い、、、」
捌ききれない攻撃がどうしてもあり、その度に回復魔法を使う。
その頻度から剣核を開放した魔剣のMPを使い切ってしまった。
もったいないが、違う魔剣を剣核開放して使っている。
「ふははははは! いくら魔剣の剣核を開放できたとしても、これでは手も足も出ないだろう!」
「――くそっ!」
ミサンガのおかげで、剣術の腕が上達しているために何とかなっているものの。
このままでは、埒が明かない。
(――どうするか、、、)
魔剣の剣核開放があるから、という驕りのツケが返ってきたわけだが、一体どうしたものか。
可能性としては、俺の持っている中でもかなり恩恵の値が高い、聖刀『氷面鏡椿』の剣核を開放するくらいか。
だけど、できればそれは実行したくない。
――『氷面鏡椿』は、俺の最高傑作だ。
他に方法は、、、
(――そういえば、『あれ』を実行してみるか、、、)
フルメタル・ゴーレムや剛田と戦った際の教訓を生かし、俺は切り札になるものを考えていた。
本来ならば聖剣で十分切り札に成り得るのだが、俺のレベルが1のせいでそうならない。
では、一体何ならば切り札になるのだろうか、、、?
――その問に対して出た結論は、魔法だった。
『神鋼』を調べるときに見つけた過去の勇者の記録――伝承。
その中に、その魔法はあった。
聖剣を携えた万全の状態の勇者でさえ、一度しか使えない大魔法。
魔法の強さを指し示す階級では『戦略級』に値する。
(――だけど、その大魔法にはそれに応じた時間が必要だけど、そんな時間はない、、、)
イービルの援護を受けたモルの攻撃に、そんな隙はない。
今も体が勝手に動いてくれるので考え事が出来ているが、戦いは継続中だ。
ただ、この世界の魔法には抜け穴がある。
この世界の魔法はMPがすべてだ。
使いたい魔法を知っていて、それに応じたMPがあればだれでも使うことができる。
さらに、威力の調節や発動時間もMP次第でどうにでも出来る。
つまり、MPさえ用意できれば、どんな大魔法でさえ一瞬で発動することができるのだ。
(少しだけでいい。武器を変える時間さえあれば、、、)
――考えろ!
何か方法はあるはずだ。
俺は鍛冶師。
出来ることは、剣を作ること、、、だけ?
「――なら、剣を作ればいい!」
剣核を開放した魔剣のMPをすべてつぎ込む。
そして、いつもお世話になっている、あのスキルを発動させる。
「――【武具創生】」
「いまさら剣を作ったところで何も出来ないさ」
「それは、どうかな」
作るのは、海龍を倒した時の魔剣『倶利伽羅』。
それを全力で作り、俺とイービルとモルの間を阻むように巨大化させる。
しかし、それではモルの攻撃で壊されてしまうだろう。
だから――
「――剣核開放っ!」
巨大化させた『倶利伽羅』の剣核を開放させる。
その巨大な刀身が砕け、再構成されていく。
そこで、再構成が終わる前にイメージを送り込む。
――たぶん、これである程度の変化は望めると思う。
再構成されていく光は、先ほどとは違う形に広がる。
そして、再構築された『倶利伽羅』は、俺のイメージを反映したトーチカのような形になった。
――もはや、剣ではない気がするが、まあいいだろう。
それよりも、この時間を無駄にするわけにはいかない。
「そんな、急ごしらえの魔剣では、モルの攻撃は防げはしないっ!」
『ガアアアアっ!!!』
モルがトーチカになった『倶利伽羅』に攻撃を加える。
その度に軋むような音が響き、罅が入る。
だけど、数発でも耐えられれば、剣を変える時間には十分だ。
俺は【アイテムボックス】から聖剣『MPタンク』シリーズを2本出す。
そのタイミングで『倶利伽羅』が砕け散ってしまう。
急造の上に無理な形態変化をしたから、脆いのだろう。
でも、おかげで準備は整った。
「――剣核開放っ!」
――両手に持つ聖剣『MPタンク』2本が砕け、黄金色の光に変わる




