11話 闘技大会2回戦~2~
「――鍛冶師のくせに意外と強いじゃねーか」
「それは、どうも」
俺は、ライと剣を交わしあう。
しかし押し負けることがない。
それは、決してステータスのせいだけではない。
もしかして、ライの剣の腕が無いのか、、、いや、違う。
――俺の剣の技術が上達しているのかっ!
「――はああっ!」
――ビュンッ!
剣をふるう音が過去のそれとはまったく違う。
それに剣を振るおうとすると、まるで体が勝手に動いて最適の行動をしているみたいだ。
(どういうことだ?)
俺の体が剣の達人のように動く。
ライも剣を使うAランク冒険者だ。
決して弱いわけではないが、俺は一切の引けを取らないどころか圧倒していく。
(――これは、、、)
ライと鍔迫り合いの体制になったときに、今までに無かった変化に気づいた。
俺の右手首にある、黄金色のミサンガだ。
(――ミサンガが光っている?)
そう、黄金色のミサンガが輝きを放っていた。
まるで、俺に力を貸してくれているように。
(そういえば、聖剣の加護を持つミサンガ、だったかな)
黄金色のミサンガの名前は、聖剣の加護を持つミサンガとなっていたはずだ。
勇者になったのも、その聖剣の加護が影響していた。
もしかして、、、
(――勇者以外にも、剣術の加護でもあるのかもしれない)
そうでなければ、この現状の説明がつかない。
逆に言えば、これが原因と考えれば納得できるのだ。
(まあ、弱くなっているわけじゃない、今はそれよりも戦いの方だ)
――圧倒しているこのまま、押し切る。
「――終わりだっ!」
「くそっ、、、 この俺が、まさか鍛冶師にやられるとは、、、」
――恩恵によって上昇したステータスを遺憾なく発揮できるようになった俺は、ライを軽く降した。
◇◆◇
「――馬鹿なっ! ライが負けただと」
「当り前です。あのお方はカメリア様なのですから」
カメリア様は、海龍からルトリアを守った英雄。
たかが、Aランク冒険者が勝てる道理がありません。
「それに、私だってカメリア様のお力を貸して頂いているのです。あなたなんかに負けられません」
「ふざけるな、女の分際で俺に勝てると思うなよ。 ――『サイクロン』」
「――! 急に速くなった!?」
フーがどうやら加速魔法を使ったみたいです。
シロウさんに強化してもらった私の速さを超えてきます。
「――くっ」
「ほらほら、そのカメリアの魔剣の力を借りても手も足も出ないのかよ『風来の乙女たち』のリーダーさん? リーダーがこれなら、他の『風来の乙女たち』の奴らもたかが知れているな」
「――な、、、で、、、い」
「――はっ?」
「――舐めないでくださいっ!」
私たちは女性だけのパーティなので、良く馬鹿にされます。
しかし、それでも『風来の乙女たち』がAランクまで上り詰めたのは事実なのです。
それを、この程度の男に汚されるわけにはいきません。
――こうなったら、『あれ』を使いましょう。
私は、魔法を発動させます。
私には魔法の才能がないので、ほぼすべてのMPをこれで消費してしまいます。
本来ならMPが回復する時間のことがあるので、使うことが躊躇われますが。
シロウさんが、魔剣があるからMPのことは気にしなくてもいいと言ってくれたので、今回は関係ありません。
「――『風来』」
魔法を発動させると、風が私の周りを静かに吹き始めます。
その風に合わせ、私は踊るようにステップを踏みます。
「なんだ、その魔法は、、、俺は知らないぞ」
「当り前です。これは私たち『風来の乙女たち』のオリジナル魔法なのですから」
この魔法こそが、私たちが『風来の乙女たち』たる所以の魔法なのです。
効果はフーが使った加速魔法に近いです、が、、、
――仕組みは全然違います。
『風来』の魔法を警戒していたフーが、ようやく私に攻撃を加えようとしてきます。
――ですが、もう遅いです。
「――くそっ! なんだこの速さは、、、! それも、だんだん速くなっているだと」
「気づきましたか。ですが、すでに十分時間は稼ぎました」
「どういうことだっ!」
「いいでしょう。教えて差し上げます。この『風来』は使用者の動きが止まらない限り、速さが速くなり続けるというものなのです。すでにあなたが対処できる速度を超えました。――これで終わりです」
風来の効果で速くなった速度を存分に生かし、白銀刀・初名でフーに斬りかかります。
殺すのは御法度なので、峰打ちです。
――これで、シロウさんにも顔向けができます




