10話 闘技大会1回戦~1~
『それでは、皆さんご注目のA組3組目の試合を始めます。――選手の入場です!』
司会者の声と共に、目の前のゲートが開かれる。
係員の案内で、俺たちはそのゲートを抜けていく。
『この試合は一回戦で一番と言ってもいい注目の試合です。女性だけのパーティでありながら、Aランクに上り詰めた『風来の乙女たち』のリーダー・ノーラ選手と、今話題の『カメリアの魔剣』の作者であるカメリア選手。その素顔は誰もしらない謎の鍛冶師。戦闘の腕前こそ未知数ですが、装備する魔剣は本物だー!』
司会者の言葉に会場が湧きたつ。
ノーラがこんなにも有名だったことにも驚いたが、『カメリアの魔剣』の知名度にも驚いた。
「こういうのは、ちょっと恥ずかしいね」
「ですね、、、 私も苦手です」
――まあ、俺は素顔じゃなくて、仮面のおかげで気恥ずかしいのは軽減されている。
まさか、この仮面に感謝することになるとはなあ。
『それに対するはルジオールを代表する冒険者パーティ『疾風迅雷』のリーダーと副リーダー。今回の優勝候補の一角でもあり、共にAランク冒険者のフー選手とライ選手だっ!』
ルジオールを拠点に活躍するAランク冒険者たちだけのことはあり、観客の歓声は俺たちの時に引けをとらない。
それに、出てきた2人は、身のこなしと言い、確かに強そうだ。
「――噂のカメリアと戦えるなんて光栄だね、ライ」
「そうだな、フー。相手にとって不足はない」
――さあ、試合開始だ。
◇◆◇
「――【戦いの魔笛】」
ガイアウルフと戦った時に使った魔剣でノーラを強化する。
このスキルは、スキル使用者に効果がないのと、連続使用はできないという制約があるものの、やはり強いスキルなのは間違いない。
相手はAランク冒険者が二人、しかも優勝候補と目されるならば使い惜しみは無しだ。
「――ノーラ!」
「――はいっ!」
相手のフーとライは、どうやら組んで戦うことに慣れているらしい。
ノーラはパーティの仲間との集団戦闘などに慣れているが、俺はそういった経験はない。
それどころか普通に戦うことさえステータス任せのものだ。
そこで、互いが1対1の形に持ち込むことにした。
相手を分断するのは俺では荷が重いので、魔剣で強化したノーラが相手を上手くかく乱しつつ分断する手筈になっている。
「――あなたには、私の相手をしてもらいます」
「くそっ! 俺たちを分断するつもりかっ! ――ライ!」
「おう! ――くらえ、『ライトニング』」
フーを引き離そうとしたノーラに対し、ライが雷の魔法を発動させる。
――そうは、させないっ!
「――はああっ!」
「なんだとっ!?」
全力で走り、ノーラとライが放った雷の魔法の間に入り込む。
そして、魔法を受ける。
「――このくらいならっ」
俺は戦闘に関しては素人だけど、片方は魔剣、もう片方は聖剣で武装している。
――ステータスだけはAランク冒険者にだって後れを取らない。
それに剣だけではなく、防具類もある程度の性能のもので固めている。
魔法を受けても多少の怪我で済む。
実際、多少のやけどぐらいの傷はついたが、やはり問題はない。
「――ノーラっ!」
「わかっています!」
「くそっ」
ノーラがこちらの意図を把握してフーを引き離してくれる。
――これで、こちらの予定通りだ。
「くっ、分断されたか、、、 まあ、いい。別に俺たちは1人だからって戦えないわけじゃない。さっさと倒させてもらうぜ、カメリアさんよ」
「――御託はいい。さっさと来い」
魔剣を構え挑発して見せる。
カメリアとしての演出というか、演技だ。
(さて、どうしようかな)
挑発をしたものの、俺が出来るのはせいぜい、剛田の時のようにステータスによるごり押しぐらいだ。
それに聖剣を2振り装備しているわけではないので、恩恵もあの時より低い。
「なら、遠慮なく行かせてもらうぜ。――『雷神剣』」
「雷を剣に纏わせたのか、、、」
俺の知らない魔法みたいだな。
魔法の属性と見た目からして、剣の斬れ味と攻撃力を強化する類のものだろう。
――だったら
【アイテムボックス】から違う魔剣を取り出す。
「――この魔剣で」
「さすが噂のカメリア。魔剣を使い分けるのか」
「――その通りだよっ!」
先ほどまでの魔剣は【戦いの魔笛】のためのもので恩恵の値が低い。
なので恩恵が高めの魔剣に入れ替えた。
――とりあえず、ステータスでごり押しだ




