08話 エントリー
「――ペア参加?」
ノーラさんの協力によって、問題が解決できたと思ったのだが、、、
またしても落とし穴があった。
――てか、なんで気づかなかったんだ、俺。
闘技大会の参加概要の欄に2人組での参加と書いてあったのを見落としていたらしく、受付でそのことを指摘され、初めて気づいた。
1人では参加できないという。
ノーラさん1人では参加できたとしても優勝は難しいと思うが。
「――ただ、お一人でもCランクを超えているのでしたらランク制限はクリアになりますので、お客さまの場合でしたら、もうお一方はお好きな方でも大丈夫ですが、どうなされますか?」
「えーと、、、 ちょっと待ってください」
エントリーの受付を待ってもらい、俺は他のみんなの意見を行くことにした。
「――で、誰が戦うのがいいかな?」
「すみません。わたし以外の『風来の乙女たち』のメンバーは、皆用事がありまして、その、参加することは難しいです」
「いやいや、ノーラさんが謝ることではないです。もともと俺の問題ですから、ノーラさんが参加してくれるだけでも助かります」
このタイミングでノーラさんが来てくれなければ、そもそも参加することも出来なかったのだから。
「私たちが戦ってもいいですが、やはりご主人様が参加した方が優勝を狙えると思います」
「そうなの。ご主人様なら【アイテムボックス】で、魔剣も自由に使えるの」
「確かに、それならばノーラさんの補助をできますわね」
――最初は、俺が参加するつもりだったしな。
ここは、俺が参加するべきだろう。
目当ての『神鋼』も俺が欲しいのだから
「よし! 俺が参加しよう」
◇◆◇
「――それじゃ、お礼も兼ねてノーラさんが好きな魔剣を作ろうか」
闘技大会に参加してくれるお礼として、ノーラさんに魔剣を作ろうと思い、話を切り出したのだが。
「いえ、そんな、、、 それに魔剣でしたら『カメリアの魔剣』をルトリアで買ったので持っています」
「そういえば、『カメリアの魔剣』を最初に買ったのはノーラさんだったんだよな」
「そうですよっ! 新しく設立された商会が魔剣を売るという噂を聞きつけて、真っ先に買いに行ったんです。あ、それと私のことはノーラとお呼びください」
「いや、別に今のままでも、、、」
「シロウさんは私の命の恩人ですから、さん付けで呼ばれたら、私が困ってしまうんです」
こうなった女の人が俺の意見を聞いてくれないのは、もはや自然の摂理だろう。
「わかった。それじゃ、ノーラと呼ばせてもらうね。それで魔剣の話に戻るけど、恩恵は2つの武器まで反映されるから、もう1振り魔剣があってもいいと思うんだけど」
「もちろん恩恵のことは知っています。ですが、私には『これ』がありますので」
そう言って、ノーラが持っていた刀を鞘から少しだけ刀身をのぞかせた。
――これは『白銀刀・初名』か。
そういえば、ココルテの町で唯一売った俺の刀を買ったのもノーラだったんだよな。
何かと縁があるのかもしれない。
「確かに、魔剣はすごいんですが、私はこちらの方が綺麗で好きなんです」
「綺麗か、、、 そうかもしれない。魔剣は【武具創生】のスキルで作ったのだけど、『白銀刀・初名』は俺がしっかり打ったものだからな」
魔剣は量産品で、白銀刀・初名は手作り品みたいな差だろう。
それでも、この世界からしたら魔剣の方がレアリティは高いのだが、、、
「手作りの魔剣も作れなくはないけど、大会までじゃ時間が足りないからなあ、、、」
「――手作りの魔剣ですかっ!?」
「うん。量産には【武具創生】で作る方が向いているから普段はしないけど、ノーラのためなら作ってもいいんだけど、、、」
「なら、優勝した暁にはシロウさんの手作りの魔剣を下さいっ!」
「別に構わないけど、本当にそれでいいの?」
「もちろんです、シロウ様の手作りの魔剣をいただけるなんて、その言葉だけで優勝なんて軽い物ですっ!」
――うん。すごい自信だ。
まあ、確かにノーラはAランク冒険者だし、俺が魔剣をいくつも持ってサポートできるのだし、たぶん大丈夫だろう。
「う、うん、、、 それじゃ、お願いするよ」
「任されましたっ!」
ノーラとは闘技大会の日の朝に落ち合うことにして、一旦別れることになった。
なんでも、闘技大会に出る予定は無かったので、パーティのメンバーに説明をしてこないといけないらしい。
急なお願いだったし、しょうがない。
――ともかく、俺も大会に備えて魔剣を量産しよう。




