16話 突然の訪問
「――これは、なんの行列なんだろう?」」
召喚された勇者――剛田とのいざこざのせいで、王都を離れることになった俺たちは港町ルトリアに戻ってきた。
『カメリア商会』への魔剣の補充が主な理由だ。
なので、早速『カメリア商会』の本拠地兼、3姉妹の家になっている建物にやってきた。
大通りを外れ裏通りに入ると、『カメリア商会』はとても目立っていた。
なぜなら、すごい行列ができていたのである。
「どうしたのでしょうか、、、」
「『カメリアの魔剣』の噂は王都まで届いていたの。だから、ある程度の繫盛はしていると思ったの、、、 でも、ここまでは想定外なの」
余りにも長い行列だったので、入り口から入るのは諦めて、裏口に回ることにした。
「あ、シロウ様っ!? ちょうどいいところにっ!」
「シロウ様、助けてくださいっ!」
「剣の在庫が、無くなってしまって、それはもう大変なことに、、、」
裏口から建物に入ると、俺たちを見つけた3姉妹が、以心伝心の連携を見せて、事情を説明してくれた。
先ほどの行列の正体は、思った通りお客の列であった。
しかし、その理由は頭を抱えたいものだった。
「――剣にすごい執着するAランク冒険者がいまして、、、 その人が最初の魔剣を買ったのですが、、、」
「海龍のブレスを防いだ魔剣と、『カメリアの魔剣』に同じ『カメリア』の紋章が刻まれていることに気が付きまして、、、」
「その結果、海龍の攻撃も防ぐほどの武器を作れると噂が広まって、、、」
「「「――このありさまに、、、」」」
(そういえば、、、 海龍のブレスを防いだ時慌てていたから、家紋のことなんか考えていなかったんだ)
いつも通り剣を作ったなら、家紋が入っているはずだ。
――やっちゃったぜ。
◇◆◇
「――ふう、、、 ようやく終わったか」
行列の原因は俺にあるので、そのまま放置するわけにもいかず、3姉妹を含め、ミミとココネにも手伝ってもらって行列を捌いた。
俺は客の相手ではなく、売る用の剣をひたすら作っていた。
魔剣ではなく、通常の剣だが。
『カメリア商会』として貯蔵していた金属では、少し足りなかったが、幸い『フルメタル・ゴーレム』の素材もあったので、剣を作るのには支障はなかった。
まあ、量は凄まじく『武具創生』で剣を量産したのだけど、聖剣『MPタンク』シリーズのMPを1本分消費することになった。
俺が一通り剣を作り終わった後、3姉妹&ミミ、ココネは行列の対応にまだ追われていた。
しかし、俺が店の売り子として働くのは多少問題があるので、店番には行けないので、しばらくの間の商品としての、普通の剣と魔剣の作成に勤しむことにした。
通常の剣は、この売れ方からすると、少し多めに作っておいた方がいいだろう。
魔剣は1ヵ月に1本として、1年分――12本作っておいた。
3姉妹に売り方は任せるので、もしかしたら1年も経たないうちに売り切れてしまうかもしれないが、その時はその時だ。
通常の剣の数はわからないが、とにかくたくさんと魔剣を12本作り終えると、売り場の方の騒がしさがなくなっていた。
「――売り場の方も静かになってきたから、そろそろ終わりかな」
様子を見ようと、売り場に続くドアを開ける。
売り場には、女性の客が1人しかいなかった。
どうやら、行列の方は一段落したようだ。
(――この女の人も冒険者かな?)
あまり強そうな感じはしないが、剣を買いに来たということはきっと冒険者なのだろう。
――どこかで見たような気がするが、きっと冒険者だろう。
そう、、、 決して、ダンジョンで勇者に襲われていた女性――お姫様ではないはずだ。
「――カメリア様っ!」
「人違いですっ!」
――バタン!
扉を閉め、鍵をかけ、、、
この部屋、鍵はついていない!?
――バタンっ!
ドアが強制的に開かされ、ドア越しに居た俺は吹っ飛ばされる。
受け身を取ることを忘れていた、俺は思わず尻餅をついてしまう。
そこに、お姫様が駆け寄ってきて――
「――お会いしたかったですわ、カメリア様っ!」
――抱き着いてきた




